朝7時前に学校に到着し、坂を上りながらふと振り返ると、遠く記念植樹の辺りでグラウンドの草取りをしてくださっている方がいます。慌ててお礼に伺ったところ、「暇だから何か学校のためになればと思って」とお返事がありました。
聞けば、もう何年間も草取りをしてくださっているそうです。
駅に向かい歩いていくと、毎日、橋の上の掃除をしている方がいます。声を掛けると「ここを通る子たちが元気にあいさつしてくれて可愛いから、汚いところを歩かせたら可哀そうだで」とのお言葉が返ってきました。
そして子どもたちと学校に歩いてくる途中には子どもたちを見送る保護者の皆さん、黄色の帽子をかぶり登校を見守ってくださる方々がいます。
本当に学区の皆様は協力的で、子どもたちのことを大切に思っているのだなと心が温まります。この地に生を受けたからこそ、子どもたちは素直にまっすぐに育っているのだろうと感じます。
そんな学区の方の思いに個人的にも何かお返しができないかと思い立ち、昨年夏から登校指導時に駅の待合室のごみ拾いを始めました。
今では、そのごみ拾いの輪が子どもたちにも徐々に広がり、登校途中にごみを拾って届けてくれる子が増えました。
大谷選手のように誰かが捨てた運を拾い集め、運のいい学校を目指すそうです。そんな子どもたちと一緒に、私も退職まで運を集め続けます。
(白井稔也・新城市立東陽小学校長)