政府が取りまとめた2025年度予算編成や制度改正の基本方針「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)について、盛山正仁文科相は6月25日、閣議後の記者会見で、「作文は終わった。次は具体的な要求だと考えている」と述べ、概算要求への意欲を示した。骨太の方針は、教育分野について「質の高い公教育の再生」として、初等中等教育の施策や質の高い教師の確保・育成などに言及している。
骨太の方針では、教員不足解消の必要性から「教職調整額の水準を少なくとも10%以上に引き上げることが必要とした中教審提言を踏まえる」としている。
これに対し、盛山文科相は「これは、中教審(の提言)でそう書かれているということで、政府全体で認めるという記述ではない」と予断を許さない状況との認識を示した。「まずは、われわれが8月末に向けて、どのような概算要求をまとめていくか、実際にどういう金額になるかは年末にかけての(財務省との)調整となる。政府の予算原案が決まるまで折衝は続いていく。そこまでいかないと評価はできない」と続け、教職調整額の引き上げなど教職員の待遇改善に向けた予算化に取り組む姿勢を示した。
また、21年に北海道旭川市で死亡した女子中学生へのいじめが認定された事件で、旭川市教育委員会の第三者委員会がまとめた調査報告書とみられる文書が、遺族の意向で黒塗りされて非公表となった部分も見られる状態でインターネットに掲載されていることが分かり、盛山文科相は「旭川市教委で保管状況などを調査しているので、現時点で見解を述べることは差し控える」と述べたが、一般論と断った上で「調査報告書が関係のない第三者に流出することは、個人情報保護の観点から絶対にあってはならない」と指摘。旭川市教委の調査を注視している姿勢を示した。