奨学生の15.8%がヤングケアラー 交通遺児育英会が調査

奨学生の15.8%がヤングケアラー 交通遺児育英会が調査
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 交通事故で親が亡くなるなどした子どもの修学支援に取り組んでいる交通遺児育英会はこのほど、同会に所属し、奨学金を受け取っている高校生や大学生らの15.8%がヤングケアラーの可能性があることが、調査によって分かったと発表した。ヤングケアラーと思われる高校生の3人に2人は、ほぼ毎日世話をしていた。

 調査は同会所属の奨学生を対象に3月4~24日にインターネットで実施し、366人から回答を得た。このうち、大学・短大生以上は約6割、高校生は約3割を占めている。

 ヤングケアラーの可能性があるのは、高校生が16.7%、大学・短大生以上が15.9%だった。

「お世話をしている家族がいる(過去も含む)」と回答した割合
「お世話をしている家族がいる(過去も含む)」と回答した割合

 主な世話の対象者で最も多いのは父親で、世話の内容は「外出の付き添い」や「家事」「見守り」などだった。交通事故などで父親に障害があるケースが多いと思われる。

 ほぼ毎日世話をしている割合は、高校生で64.7%、大学・短大生以上は24.4%で、高校生の方が割合が高かった。

 高校生の17.6%、大学・短大生以上の4.9%が、身体的に健康があまりよくないと回答。同様に精神的に健康があまりよくないと答えたのは、高校生の5.9%、大学・短大生の4.9%だった。

 高校生の82.3%、大学・短大生以上の65.9%が、家族の世話をしていることなどについて相談したことがなく、その主な理由では高校生は「家族のことのため話しにくい」(41.1%)や「相談しても状況が変わると思わない」(38.5%)が多かった。それに対し大学・短大生以上では「誰かに相談するほどの悩みではない」(63.0%)が最多だった。

 助けてほしいことを尋ねると、高校生では「家庭への経済的支援」(37.5%)、「修学に対する経済的支援」(35.4%)、大学・短大生以上では「家庭への経済的支援」(35.0%)が目立った。

 同会では、調査を来年以降も継続的に実施し、支援プログラムに生かしていく方針。

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