全国知事会子ども・子育て政策推進本部長の三日月大造滋賀県知事が8月7日、教育行政や子育て政策に関わる67項目の提言書「子ども・子育て政策を強力に推進するための提言」を、文部科学省とこども家庭庁に提出した。この日は重点事項3項目を中心に要請。文科省への重点事項としては、全国一律施策での地域差解消や教職員の勤務環境改善、不登校児童生徒への支援強化を挙げた。
文科省を訪れた三日月知事は安江伸夫文科大臣政務官に対し、学校給食の無償化や、高校や大学の授業料無償化など自治体がサービスを競い合っている現状を示し、全国一律で行う施策の制度底上げを訴えた一方、地方が実情に応じてきめ細かく行うサービスに対しては地方財源の確保、充実を求めた。
また、教職員の勤務環境を改善し、教育の質の向上につなげるという提言では、人員体制の強化、働き方改革の加速化、法改正を含めた教員の処遇改善を要望として挙げた。不登校児童生徒や困難な環境にある子どもたちへの支援については、不登校児童生徒数の増加傾向が続いている現状認識のもと、フリースクールなど学校以外の居場所、学びの場の整備や運営支援、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーといった専門人材の配置拡充のための支援、制度の充実を提言に盛り込んだ。
三日月知事の提言に対し、安江政務官は「しっかりと受け止め、文科省としてもできることから、ぜひ頑張ってやっていきたい」と応じた。
また、三日月知事は文科省への要望行動に先立ち、子ども政策を担当する工藤彰三内閣府副大臣と面会し、提言書を提出。保育士、児童福祉司といった専門的人材の確保、育成や少子化対策につながる結婚支援策の強化を要請した。また、幼児教育・保育の完全無償化や子どもの医療費助成制度創設、妊産婦や新生児、乳幼児への検査・健康診断の制度設計などについて地域差解消を訴えた。
両省庁への提言書提出後、三日月知事は「来年度予算の概算要求に盛り込んでいただくよう要請した。全国知事会としても国と両輪となって、子ども・子育て政策を前進できるよう進めていきたい。工藤副大臣、安江政務官から具体的な確約があったわけではないが、提言施策に対する必要性は受け止めていただいた」と述べ、手応えを示した。提言は8月1~2日、福井市で開かれた全国知事会議で取りまとめられた。