いじめ防止に「問題解決型の教員研修」 都教委が対応力向上策

いじめ防止に「問題解決型の教員研修」 都教委が対応力向上策
いじめ防止の対策を推進する方策などについて報告された都教委の第13回定例会=撮影:松井聡美
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 東京都教育委員会は8月22日、第13回の定例会を開催した。そこでは、都内公立学校でのいじめ防止を巡る取り組みの推進状況や、今後の方策が報告された。教職員の対応力の向上のため、成功事例や失敗事例から対応のポイントを分析する問題解決型の教員研修などを検討・計画する方針などが示された。

 今回は、東京都教委が付属機関である東京都教委いじめ問題対策委員会(第5期)に諮問した事項について、同委員会から答申を受けたことが、担当者から報告された。

 同委員会(第4期)の2022年7月の答申では、「いじめ防止などの対策を一層推進するための方策」として▽発達の段階に応じたいじめ防止などの具体的に関わる検討▽教員が元気になるような研修など、学びの場の創出▽SOSの出し方に関する教育の見直し▽いじめ問題に関する現状や課題などの把握――など、7点を挙げていた。

 都教委の担当者の報告によれば、いじめ問題対策委員会の委員からは、それらの取り組みの成果を評価する声があったという。例えば、生徒指導提要の改訂を受けて都教委が作成した教職員向けのデジタルリーフレットや研修などの取り組みに関して、「生徒指導提要の内容を具体的に説明しようとする視点が非常に効果的だ」とされた。

 一方で、「学校いじめ対策委員会を実効性のある組織にするとともに、重大事態やその疑いがあった時の対応、教委との連携などを見直していく必要がある」など、取り組みの改善の必要性が指摘された項目もあったという。

 こうした状況を受けて同委員会(第5期)では、今後いじめ防止などの対策を一層推進するための方策として▽発達支持的生徒指導の趣旨にのっとったいじめ防止などの取り組みの推進▽教職員の意識啓発及び対応力などの向上▽専門家などの知見を活用したいじめ防止対策及び早期解決への取り組みの推進――など、6つの方策を示している。

 例えば、各校で年3回以上実施することとしている教員研修で、成功事例や失敗事例から対応のポイントを分析する問題解決型の研修や、いじめ被害の経験のある子どもの保護者の話を聞く研修などについて検討・計画することとしている。

 こうした報告に対し、教育委員からは「何よりいじめ事案に関する情報を開示する、透明性を高めるということを、より徹底してほしい」「学校や先生は具体的にどう行動してくれるのか、といったことを子どもたちに示してほしい」「いじめの重大事態の報告書を洗い出し、課題が明らかになったら、それを教員研修にも生かしていけるとよい」といった要望や意見が上がっていた。

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