(こだま)筆を置く

(こだま)筆を置く
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 「シリウスや生き死に他人(ひと)に委ねけり」(コラム子「病床駄句」より)今年1月号「こだま」で「60代はゴールデンエイジ、人生を楽しめ」と威勢の良いことを言っていたにも関わらず60代最後の年に不覚にも体調を崩し入院する羽目になった。

 思えば、6年間「こだま」の執筆に携わった。これまでの教員経験を生かして自身の視線で日本の教育、愛知の教育を見つめてきた。「教員の働き方改革の実現」「知識伝達型授業からの脱却」「いじめ・不登校等への適切な対応」「教員の不祥事の撲滅」「教員不足の早期解消」など、解決しなければならない課題は山積しているものの、総じてこれまでの日本の教育は間違っていなかったのではないか。その証しとして、今、海外から日本の教育が評価されているのだ。

 例を挙げよう。エジプトでは大幅な人口増加に伴い、国の情勢が不安定になっていることから、規律や道徳心を重んじる日本型教育を取り入れている。その他、集団行動を通して協調性を学ぶ学級会や運動会などの学校行事、責任感や美化意識を培う清掃、給食にも注目している。学校活動はもとより学習指導要領によりどの地域でも一定水準の教育を受けることができ識字率100%を達成している日本型教育は貧富の差が大きい新興国には憧れなのかもしれない。

 その陰には、2016年から始まった「EDU―Portニッポン」が功を奏しているようだ。文部科学省や国際協力機構、民間企業などが連携し「日本型教育の海外展開」を推進する事業だ。今、世界が日本の教育を模範にしている。

 中教審は21年の答申で、「令和の日本型学校教育」を打ち出した。「日本型学校教育」の良さをさらに発展させ、その成果を生かしながら、誰一人取り残すことのない持続可能な社会の創り手の育成を目指している。日本の教育の明るい未来が見えてくる。

 ここが潮時かもしれない。コラム子の筆を置くこととする。「初空や若き力に生かさるる」(前述)

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