本校には伝統があります。一つは54年目となる「作文」です。子供が身の回りのこと、経験したことを丁寧につづる中で、自分のありようを見直し、生活をよくしていくことを目指しています。
子供は、教師と対話をしながら、たねを探し、文を組み立て、つづります。内容が子供の生活に関わることが多いため、保護者にも協力をしていただきます。子供と保護者を作文がつないでいます。
もう一つが28年目となる「ゲンジボタルの人工飼育」です。敷地内の施設で、卵からふ化した幼虫の飼育を「室場ホタルクラブ」の部員が担います。毎日、餌のカワニナを入れたり、フンをとったりします。大人では見分けられない数ミリの幼虫も子供はたやすく見つけます。
4月に保存会と一緒に幼虫を放流し、6月のホタル祭りでは、6年生がホタルガイドを行います。子供と地域をゲンジボタルがつないでいます。
あるとき、6年生の子の作文に、こんな言葉を見つけました。
「時代の変化によってどうしても変わってしまうことはある。でも、愛され続けてきたことで、残り続けているものがあると思う。だからこそ守り続ける、思い続けるなどといったことは大切であり、これからもしていくことなのだと思う」
子供に、保護者に、地域に、教師に、いつも変わらず大切にされてきたことをこれからも続けていきます。
(稲吉直樹・西尾市立室場小学校長)