スマホに見立てた四角い箱を耳に当て、さらには、机にかざし、「ぺっぺ」とスマホ決済のまね。2歳弱の乳児の動画である。
今から25年ほど前、わが家にもネットがつながり、世界の様子がリアルタイムで分かるようになった。国境を越えたつながりが広がることで、ボーダレスの時代が訪れると期待した。就職1年目、「一太郎」と「ロータス」を教えていただいたことが懐かしい。長い教員生活を振り返ると、ICTの活用方法で時間の流れを感じ取ることができる。名古屋市も9月から不登校支援としてメタバースを取り入れた事業が予定されている。GIGAスクール構想はさらに前進をしていく。
会話ができない2歳の子が、数年後には、小、中学校に入学する。ICT活用法の時間軸で、少し先の未来を想像すると、学校教育がどのように変化しているか、不安ばかりが思い浮かぶ。
しかし、どんなに変化の激しい時代が訪れようとも、時代の変化に敏感な小、中学生と日常から接しているのだから、彼らの気持ちに寄り添って話を聞けば、常に新しい時代について学んでいくことができる。
本校の学校努力目標「互いの思いによりそう学校づくり」。この努力目標を意識すれば、最新の子どもの価値感と経験豊かな教員の価値感を重ね合わせ、新たな価値感を生み、その時代に必要とされる教育活動を展開できると期待が膨らむ。
子どもの思いに寄り添いながら、変化の激しい時代を乗り切りたい。
(伊東章二・名古屋市立昭和橋中学校長)