旭川市中2いじめ自殺 再調査委が市長に報告書を提出

旭川市中2いじめ自殺 再調査委が市長に報告書を提出
iStock.com/korawat thatinchan
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 北海道旭川市で2021年3月、いじめを受けていた中学2年生の女子生徒が自殺した問題で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)は9月1日、いじめと自殺の因果関係を認めた報告書を今津寛介市長に提出した。市は今後、再発防止策を含めたいじめ対策を検討するとともに、報告書公表版の作成を急ぐ。

 再調査委は今年6月30日に「いじめが自殺の主たる原因だった可能性が高い」とする調査結果を今津市長に報告したが、当初の第三者委員会の報告書が黒塗りなしの状態でインターネットに流出したことが発覚したことを受けて、正式な調査結果の市長への答申と報告書の公表を先送りしていた。

 市によると、再調査委は市の情報管理体制を確認し、1日に報告書を提出。尾木委員長は「(事件は)全国どこでも起こり得るもの。(報告書が)旭川はもとより、全国の子どもたちの未来に希望が持てるよう、いじめ対策の道しるべとなることを願っている」と述べ、今津市長は「報告書の中身を精査し、必要な措置、再発防止を含め、しっかりと対策を検討したい」と応じた。市は今後、遺族との調整を経た上で報告書の公表版を作成し、市ホームページで公表する方針。

 21年2月、旭川市の中学2年生の女子生徒が行方不明となり、3月に市内の公園で凍死しているのが見つかった。女子生徒は19年の入学後、いじめを受けていたことが確認された。

 再調査委の報告書は、女子生徒がクラスや学校外の特定の関係の中で受けた7つの行為をいじめと認定。いじめに起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、トラウマに苦しんでいたことを指摘し、「いじめに遭わなければ、自殺しなかった」と結論づけた。女子生徒は長期間、SNSにいじめ被害を投稿し、継続的にいじめに苦しんでいたという。報告書は学校や市教育委員会の対応が適切でなかったとして、その責任も指摘している。

 この問題を巡っては、市教委の第三者委員会が22年9月、自殺といじめの因果関係は「不明」と結論づけた調査報告書を公表し、遺族側は再調査を要望。再調査委は市長直属の機関として設置され、教育評論家の尾木氏ら5人が委員を委嘱された。22年12月から22回の会合を重ねて検証を進めてきた。

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