GIGA端末の更新 半数近くの市区町村が価格高騰を懸念

GIGA端末の更新 半数近くの市区町村が価格高騰を懸念
iStock.com/shih-wei
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 GIGAスクール構想で学校に導入された1人1台端末の更新について、全国の市区町村のうち、半数近くが端末の価格の高騰を懸念していることが9月5日、ICT市場の調査コンサルティングを行うMM総研が7~8月に行った調査の結果で明らかになった。1人1台端末の更新は、国が基金を創設し、都道府県ごとの共同調達とすることが予定されているが、約9割の市区町村がこれにより端末を更新する方針を固めていた。

 1人1台端末の更新では、政府の負担で都道府県ごとに基金を創設し、端末を買い替える際、購入費の3分の2を補助することで、市区町村の財政負担を抑える方針が示されている。この場合、端末の価格は1台当たり5万5000円を上限とし、共通仕様書を基にした都道府県ごとの共同調達となる。

 MM総研の調査によると、全国にある全1741市区町村のうち、回答した1269市区町村の91%が「共同調達に参加する」とした。不参加を表明したのは4%で、「(政令市、特別区などで)人口規模が大きい」「調達時期が合わない」などが理由だった。

 さらに、共同調達する上での課題や懸念を複数回答で尋ねると、回答した1248市区町村の中では「端末の価格が高騰している」が48%と最多で、「各種計画(端末更新、ネットワーク、校務DX)の策定に時間がかかる」(27%)、「端末のカバーやペンなど周辺機器を購入する予算が足りない」(19%)、「都道府県主導のため、適切なスペックの端末を調達できるか分からない」(15%)などが続いた。

 また、更新時に想定している端末の単価については、1256市区町村中、政府補助金の範囲内の5万5000円以内と答えたのが71%を占めた。更新時期については、回答した1114市区町村の652万台を対象にした分析で、2025年度が68%、26年度が21%だった。

端末更新にあたってのOSの切り替え方針
端末更新にあたってのOSの切り替え方針

 端末更新にあたって、「OSを切り替えない(同じOSを継続する)」と答えたのは、1268市区町村中、64%だった一方、「切り替える」と答えたのも12%あった(=グラフ)。

 MM総研の高橋樹生研究主任は「25年度には、企業や官公庁などの法人パソコンの主力である『Windows10』の延長サポートが終了し、法人市場でパソコンの更新需要が集中することが懸念される。また、共同調達で案件が大型化・広域化し、前回の調達を支えた地域販社が入札に参加しにくくなり、円滑な端末の供給や更新作業が課題になる可能性がある。都道府県ごとに調達の準備状況にはばらつきも出ていて、市区町村からは懸念の声も上がっている。政府は、共同調達の円滑化に向け、引き続き支援するべきだ」と話している。

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