長期の休み明けは登下校中の子どもの事故が増える場合があることから、東京都渋谷区立臨川小学校(河口尚志校長、児童354人)で、小学3年生の子どもたちが通学路の危険な場所を確かめ、安全への意識を高める探究学習が9月3日から始まっている。授業は自動車保険を取り扱うイーデザイン損害保険が協力。今後、子どもの駆け出しを検知すると警告音が鳴る装置を使ったり、危険な場所の情報を可視化したりしながら、小学1年生に対して通学路の危険箇所や安全を伝える活動に発展させていくという。
同社では親子で交通安全の意識を高めることができる取り組みとして、地図上の危険な場所にピンを立てられるウェブサービス「もしかもマップ」を提供している。昨年には、ランドセルに取り付けられ、子どもが突然駆け出した瞬間に警告音を鳴らしたり、危険な場所に差し掛かると音声で注意喚起をしたりするデバイス「おまもりもし子」を開発し、実証研究を重ねている。
今回の取り組みは渋谷区が独自に実施する問題解決型の探究学習「シブヤ未来科」の一環で、9月中に3回の授業を実施。1回目となる3日の授業では、同社CX推進部の今井宏太郎さんが講師となり、登下校中の交通安全で気を付けるべきポイントを確認したり、同小周辺の道路の写真を見て、どんな危険が考えられるかを話し合ったりした。その上で、後半はグループに分かれて実際にフィールドワークを行い、危険な場所を探した。
授業に参加した児童は「車からの視点や自分からの視点で、『登下校のときに走ったら危ないかな』と、いろいろ考えながら学ぶことができた。実際に外に出て学ぶと室内で学ぶよりもっと考えが深まる」と振り返った。
3年2組担任の森野景教諭は「普段何気なく通っている通学路だが、こういう機会がないと、危険な箇所や、ここに気を付けなければいけないといった意識はなかなか向けられない。授業の中で具体的に、ここが危険な場所だと分かることも大事だが、それに加えて、授業で学んだことを実際の生活の中で生かしてほしい」と狙いを説明する。
今井さんは「最後の3回目の授業では、1年生に対して、お兄さん・お姉さんの目線で教えることで、大人が教えるよりも分かる部分があるのではないか」と期待を寄せる。
次回以降の取り組みでは、3年生の児童が「おまもりもし子」を取り付けて1週間ほど登下校し、通学路上の危険に関するデータを収集。それを基に、3回目は1年生の児童に通学路の危険箇所を伝えたり、「おまもりもし子」の改良アイデアを考えたりする。