教員や保育士など、子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを確認する「日本版DBS」の創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法」に関する関係府省庁連絡会議の初会合が9月13日、こども家庭庁で開かれた。同法は2026年度をめどに施行される予定で、施行に向けたスケジュールや、施行に向けて整理が必要な事項などが確認された。
同会議にはこども家庭庁や内閣府、警察庁、デジタル庁、総務省、法務省、文科省、厚労省、経産省、個人情報保護委員会の局長級が参加。議長を務める加藤鮎子こども政策担当相は「この法律の円滑な施行と関連する対策の推進を一体的に図っていくためには、こども家庭庁を含む関係省庁が密接に連携しながら進めていくことが不可欠」と強調。「施行期限に向け、遅滞なく準備を進め、施行当初から制度が実効的なものとして運用できるよう、また関連する取り組みについてもより充実したものになるよう積極的な協力を求めたい」と述べた。
こども家庭庁の担当者によると、この日の同会議では施行に向けたスケジュールが示された。26年12月26日が施行期限となっており、今年度は調査研究や関係省庁で論点の検討を行い、来年度からは有識者検討会議を立ち上げて各論点のさらなる具体化を進めていく。同時に執行体制の検討やシステム構築についても検討が進められる予定で、施行前の事業者などへの周知広報は1年ほどかけて行っていくとしている。
また、施行に向けて整理が必要な事項として▽制度対象▽認定▽安全確保措置▽犯罪事実確認▽情報適正管理措置▽監督━━などを確認。制度対象については、家庭教師やサマースクール、ベビーシッターマッチングサイトなどの取り扱いを含めるのかなど、対象事業や職種の範囲、規模などが検討課題となっている。
同法は学校や幼稚園、保育所、児童養護施設などの設置者と、認定を受けた学童保育、学習塾、スポーツクラブなどを運営する民間事業者に性暴力を防止する措置を義務付けているが、その認定に関する事業者からの申請の具体的なフローや、国における審査・通知・公表の具体的なフロー、認定基準、認定マークなどについても検討される。
加えて、早期に事案を把握するための体制や、相談体制、調査体制、職員の研修内容、被害を受けた子どもの保護や支援についても具体化していく。
また、犯罪事実確認書について事業者からの申請の具体的なフローや、国における確認・交付のフロー、訂正請求の受付や通知のフローなどについても整理し、犯罪事実確認記録などの廃棄や消去の具体的な方法など、情報適正管理措置の内容についても整理していく。
今後の中長期的な検討事項としては、個人や小規模民間事業者の取り扱いや、確認対象となる期間の範囲、下着窃盗やストーカーなど確認対象となる事実の範囲といった、特定性犯罪の範囲についても検討していく。
こどもに対する性犯罪・性暴力対策の総合的な取り組みや、教員や保育士などの養成段階におけるこどもに対する性暴力を防止するための教育の充実、加害者更生プログラムの充実などについても、合わせて取り組んでいくとしている。