(読者の窓)災害に備える

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 名古屋港から程近い本校の学区は、海抜0メートル地帯にある。そのため1959年の伊勢湾台風の折には、大人の身長を超える高さまで浸水し、場所によっては水が引くまでに20日間を要したそうである。

 当時の当直記録にも「水はぐんぐん水位を増して、廊下は椅子や机がごった返りその間を歩くことは全く不可能だった。よくも簡単に戸棚が机が浮かび机が流れ出たものだと空ろな頭に感嘆した。この間20分か30分の間のように記憶している」と壮絶な様子が残されており、現在、校地の北西角には、最高浸水位を示す柱が立てられている。

 それ故、この地域の防災への意識は、私がこれまで赴任してきた中でもとりわけ高いと感じる。学校でも防災教室を毎年実施しているが、区役所や消防署、港防災センター、港・中川・中村地域サポート会議といった関係機関との連携により、かなり充実した内容となっている。防災講話や防災カルタ、新聞紙スリッパやストローハウスの製作の他に、起震車体験、水扉体験、土のう体験といった災害の怖さや作業の大変さを体で感じ取ることができる活動があり、自然災害に対する知識・技能を身に付ける上で大変役に立っている。

 今後30年以内に70~80%の確率で起こるとされている南海トラフ地震では、津波による浸水以外に液状化による被害なども指摘されている。自分たちの命を自ら守る子どもたちを育てるため、これからも防災教育に地道に取り組んでいきたい。

 (伊藤孝明・名古屋市立港楽小学校長)

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