都の教員採用選考1.7倍 採用方法多様化で下落傾向「改善の兆し」

都の教員採用選考1.7倍 採用方法多様化で下落傾向「改善の兆し」
iStock.com/maruco
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 東京都教育委員会は9月30日、2025年度採用の公立学校教員採用候補者選考の結果を公表した。受験者数8570人で名簿登載者(合格者)は4999人、受験倍率は1.7倍となった。前年度1.6倍とほぼ同水準で、2年連続の下落から持ち直した。都教委は「打ち出したばかりの施策もあり、決め付けるのはまだ早いが、改善の兆しが見え始めている」と手応えを示している。

 東京都の公立学校教員を巡っては、20年度採用の選考では1万人を超える受験者がおり、受験倍率は3.0倍だったが、23、24年度採用の選考では受験者が8000人を下回った。今回、3年ぶりに8000人台を確保。退職者の動向や併願者の状況を見越して合格者数が増減し、受験倍率に影響するものの、都教委は「教員確保が難しい状況」との危機感を持っていた。前回と今回と新たな採用制度を導入するなど、多様な人材が受験しやすい環境整備を進めてきた経緯がある。

 今回、学校種別では、小学校全科が受験者2441人に対して合格者2118人で1.2倍(前年度比0.1ポイント増)、中・高共通および小・中・高共通が受験者4204人に対して合格者1824人で2.3倍(同0.2ポイント増)、特別支援学校が受験者751人に対し、合格者596人で1.3倍(前年度と同じ)だった。小学校全科、中・高共通および小・中・高共通は2年連続の受験倍率下落に歯止めがかかった形だ。

 新たに導入した選考方法のうち、大学3年生が1次選考の教職教養と専門教養を前倒し受験する制度では、昨年の通過者1829人の74.5%に当たる1362人が最終的に1次選考の論文を受験。2次選考の面接、実技を経て991人が合格した。また、即戦力確保を目指し、主任教諭として採用するキャリア採用選考では165人が受験し、22人が合格した。

 導入2年目となる制度では、カムバック採用を124人が受験し、95人(前年度比12人増)が合格。東京都の教員経験者で離職からの期間など一定の要件を満たした対象者は1次選考が免除され、教員復職を目指す受験者増加を狙った。

 民間からの転職希望者が受験しやすいよう、合格後の教員免許取得期間を設けた社会人経験者特例選考の免許取得期間猶予希望者は173人が受験し、122人(同34人増)が合格。この制度では24年度採用から年齢要件を大幅に拡大して40歳以上から25歳以上とし、第2新卒の取り込みなどを図った。

 都教育庁人事部選考課は「一つ一つの取り組みの効果が少しずつ見えてきた。より多くの方に受験していただき、さまざまなスキルを持った人材の中から選考したい」としている。

 また、都教委では教員採用に向けたPRイベントにも力を入れている。10月20日、ベルサール渋谷ガーデン(東京都渋谷区)で公立学校教員採用セミナー「TOKYO教育Festa!」を開催。参加予約を受け付けている。教育評論家・尾木直樹さんの講演のほか、少人数の座談会コーナーなど現役教員の話が聞けるブースも多数用意されている。

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