パリ五輪の体操男子団体総合で金メダルに輝いた日本男子体操の萱和磨選手がこのほど、母校の千葉県習志野市立習志野高校(田口富一校長、生徒944人)を訪れ、体操競技部の後輩らに特別レッスンを行った。体づくりについて学ぶ授業の一環でスポーツ栄養講座も開かれ、萱選手は自身が実践している食事の極意を伝えた。
同高は部活動の盛んな学校として全国的にも知られており、萱選手も2012~14年度まで在籍し、体操部で活躍した。この日の母校訪問は、インターネットスポーツメディア「SPORTS BULL」による、アスリートが全国の学校を訪問し、部活動に打ち込む生徒を応援する「部活生の強さひきだすプロジェクト RiseUp」の一環で行われた。
教室に萱選手が登場すると、萱選手がやってくることを事前に知らされていなかった生徒らは驚きの表情を浮かべながらも、拍手で先輩を歓迎。萱選手も生徒らと一緒に㈱明治の管理栄養士である石井礼菜さんから、スポーツ選手に必要な食事や栄養の考え方を教わった。
普段の食事について石井さんから尋ねられると萱選手は、納豆、ご飯、みそ汁にヨーグルトといった、ほぼ毎日決まった同じメニューを食べ続けていると打ち明けた。その理由については「同じメニューを毎日食べると、練習で調子が悪くても、食事や睡眠は一緒なのだから、原因をそれ以外に絞ることができる」と説明。実際の食事の写真を生徒らに紹介した。
授業を受けた生徒は「萱選手が来てびっくりした。腕の筋肉がすごい。萱選手が毎日同じ食事と睡眠を維持してコンディショニングをしているという話が参考になった。たんぱく質の量を1食でどれくらい取らなければいけないのかが分かり、部活動でもそれを生かして強くなりたい」と振り返っていた。
授業後、萱選手は体操競技部の活動に合流。あん馬や平行棒などを、実践を交えながら指導した。練習での体の動きをスマートフォンで動画撮影し、萱選手と生徒が見返しながら改善点をアドバイスする場面もあった。
萱選手は「これだけ競技レベルの高い選手たちを教えたのは初めてだったが、自分が伝えたいことが伝わったなという手応えがあった。これから成長していく高校生たちなので、何よりも焦らずに、けがだけはしないでほしい」と話した。
文部科学省ではオリンピックやパラリンピックをはじめとする国際大会で活躍したアスリートを、教員免許がなくても教員に採用することを促しているが、こうしたアスリートが子どもたちを指導する動きについて萱選手は「(機会があれば)やってみたい。体操はスポーツの基本だと思っている。それは高校生も一緒で、そういったことを伝えていけたら」と前向きに答えた。