石破茂首相は10月4日、衆参両院の本会議で就任後初の所信表明演説を行い、「全ての人に安心と安全を」をキーワードに、外交・安全保障や防災対策、少子化対策などに取り組む方針を示した。教育改革に関連しては「教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げる」と述べ、教職員の処遇改善などに意欲を示した。
石破首相は所信表明の冒頭、自民党総裁選で掲げてきた「ルールを守る」「日本を守る」「国民を守る」「地方を守る」「若者・女性の機会を守る」を五本柱として、「日本の未来を創り、未来を守る」と強調した。その上で具体的な取り組みとして、低所得世帯支援など物価高対策、防災庁設置を含めた防災対策、地方創生交付金の倍増などに取り組む姿勢を示した。
教育改革については「人づくりこそ国づくり」と強調し、「デジタル技術の活用を前提に、自ら考え、自由に人生を設計することができる能力の育成を目指す。あらゆる人が最適な教育を受けられる社会を実現する」と述べるとともに、「教職員の処遇見直しを通じた公教育の再生に全力を挙げる」と述べた。文部科学省は、来年度予算案の概算要求で、給特法で定められている教職調整額について月額給与の4%から13%への引き上げを求めており、改めて教職員の処遇改善に意欲を示した形だ。
さらに強靭で持続性のある「稼げる日本」の再構築に向けて、「教育やリスキリングなどの人的資源への最大限の投資が不可欠だ。人生のあらゆる局面で何度でも必要な学びが得られる体制を整備する」と述べた。
少子化対策を巡っては、「少子化とその結果生じる人口減少は国の根幹にかかわる課題、いわば『静かな有事』だ」と危機感を示した。その上で「今の子育て世帯に続く若者が増えるような子育て支援に全力を挙げる」として、こども未来戦略の着実な実施とともに、短時間勤務の活用や生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を強力に進める方針を示した。
さらに全国33道県で男性より女性の転出が多い状況になっていることを踏まえ、「若者・女性に選ばれる地方、多様性のある地域分散社会をつくっていかなければならない」と強調。地方創生と表裏一体のものとして、若者に選ばれる地域社会の構築に力を入れる方針を示した。