岩手県教育委員会は10月18日、来年度に実施する2026年度公立学校教員採用候補者選考試験で、小学校教諭の採用選考に「幼稚園教諭経験者特別選考」を新設すると発表した。幼稚園教諭普通免許状を保有し、幼稚園などに3年以上の勤務経験がある人が対象で、受験時に小学校免許の有無は問わない。岩手県教委の担当者は「小学校教員試験の受験者の減少もあり、また幼小連携を推進する観点からも、特別選考を新設する」と説明した。幼稚園教諭経験者を対象とした特別選考は、青森県が今年度から導入しており、青森県教委の担当者は一定の手応えがあったとしている。
岩手県の幼稚園教諭経験者特別選考は、幼稚園教諭普通免許状を保有し、25年3月末までに幼稚園・特別支援学校幼稚部・幼保連携型認定こども園などで、正規の教諭として3年以上の勤務経験がある人が対象となる。
受験時点で小学校教諭免許の有無は問わない。免許状なしで合格した場合は、小学校臨時講師として任用するとともに、通信制大学などで必要単位を修得し、3年以内に小学校教諭免許状を取得する条件で採用する。25年5月に書類審査(1次選考)、6月に面接(2次選考)を実施する予定。
同県の今年度の教員採用試験では、小学校教諭の最終倍率(一般選考の受験者数に対する2次選考合格者の割合)が1.8倍となり、昨年度の2.2倍から減少している。県教委の担当者は「特に小学校教員試験の受験者を増やしていく必要がある。また、幼小連携をさらに推進していくためにも、今回の特別選考が有効だと考えた」と話した。
今回の特別選考で採用される人は、幼稚園での勤務経験を生かしてもらうため、最初は主に低学年を担当することを想定。また、勤務校の状況にもよるが、臨時講師の間は担任を持たない予定だとしている。
今年度から幼稚園教諭経験者を対象とした小学校教諭の特別選考を行っている青森県教委によれば、今年度の特別選考では12人が受験し、うち9人を採用候補とした。この特別選考を含めた今年度の小学校教諭の受験者は175人で、昨年度より20人増加した。担当者は「採用につながり、小学校の採用倍率が改善した。一定の効果はあったのではないか」と話し、来年度も継続するかはこれから検討するとしている。