教諭の基本給は下げない考え 「新たな職・級」巡り、文科相

教諭の基本給は下げない考え 「新たな職・級」巡り、文科相
教諭の基本給引き下げは考えていないことを強調する阿部文科相=撮影:藤井孝良
【協賛企画】
広 告

 中教審答申を受けて文部科学省で検討が進められている教員の「新たな職・級」の創設に関して、阿部俊子文科相は10月25日の閣議後会見で、「新たな職の創設に伴い、『教諭』の職務・責任について変更を加えることは想定をしておらず、基本給の引き下げは考えていない」と述べた。「新たな職・級」のモデルとされている東京都の「主任教諭」のケースなどから、「教諭の基本給が下げられるのではないか」という懸念の声が上がっていたことを受けて、省としての方針を明確にした。

 8月に出た中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」では、学校の組織的・機動的なマネジメント体制の構築に向けて、学校内外との連携や若手教員へのサポートなどを担う「新たな職」の創設が必要だとし、その「新たな職」の処遇に関しては、教諭と主幹教諭の間に「新たな級」を設け、現状の主任手当よりも高い処遇とすることを提案している。

 しかし、研究者や現職の教員らで構成される「給特法のこれからを考える有志の会」は、この「新たな職・級」に関して、答申のベースとなる議論を行った中教審の「質の高い教師の確保特別部会」で検討された東京都の「主任教諭」では、教諭のままだと基本給が下がっていると指摘。10月4日から始めたオンライン署名には、同25日時点で2万6000筆を超える賛同が寄せられている。

 有志の会の指摘についての見解を問われた阿部文科相は「新たな職および新たな級の創設に関しては、学校の組織的また機動的マネジメント体制の構築、教師のいわゆる職務と責任に見合った適切な処遇のために中教審から提案されたものだ。公立学校の教員給与については、職務給の原則に基づき、地方自治体において定められることとなっているが、文部科学省としては、新たな職の創設に伴い、教諭の職務・責任について変更を加えることは想定をしておらず、基本給の引き下げは考えていない」と強調。懸念されている教諭の基本給を引き下げる考えがないことを明言した。

 同省では現在、教職調整額の引き上げに伴う給特法の改正と合わせて、この「新たな職・級」の具体的な検討を進めており、来年には、各自治体で条例改正などの対応が行われることが見込まれている。

広 告
広 告