(提言)この夏の学び

(提言)この夏の学び
【協賛企画】
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愛知県公立小・中学校女性校長会長 吉田 奈緒美

 私は書籍や動画より直接お話を聴く講演会が好きです。それは、話す方の表情や声の調子からお人柄や経験の豊かさが伝わり、それらを含めて一層深く考えたり、感じ取ったりできると思うからです。この夏、参加させていただいた講演会もとても心に残るものとなりました。

 8月1日・2日には全国公立小・中学校女性校長会北海道大会が行われました。大会の中で開催された記念講演の講師は、元南極地域観測隊・越冬調理を担当された和食料理人の篠原洋一氏。「多様性社会をしなやかに生きるリーダー術~南極観測隊と客船乗務の経験から~」という演題でのお話でした。

 「美しいオーロラを見たい」その夢をかなえるため、篠原氏は料理人として2度、南極観測隊に志願されました。映画のように描かれる美しい世界はもちろんあるものの、現実には閉鎖空間であり、常に命と向き合う生活の中で、いかにしなやかな強さで、前向きに仲間と生きるか。「セルフメンタルコントロールと閉鎖空間での人付き合い術」のお話は心にすとんと落ちる言葉にあふれていました。中でも「多様性の時代、合わない人は必ずいる。無理に付き合わなくてもいい。しかし仕事は最大限の助け合いをするチームであること。一人を絶対追い詰めない」「怒りの沸点を高く、笑いの沸点を低く」という言葉は、持ち帰って多くの人に伝えたいと思いました。

 8月6日に開催の愛知県公立小・中学校女性校長会研修会では、愛知学院大学の木林利行氏をお迎えし「世代による価値観のギャップを理解する」というご講演をいただきました。世代を超えた職員集団が形成され、多様性の時代である今、柔軟に時代と社会の変化に対応するために、校長に求められるのはバランス感覚であること。イマドキの校長にとって必要な視点は何か、楽しく、鋭くご示唆いただきました。

 変化の激しい社会、予測困難な時代、これは校長としてよく口にする言葉です。しかし、自分自身が固定観念に縛られていたり、新しい物に躊躇(ちゅうちょ)していると感じたりすることがあります。未来の課題に向き合うには必要な知識・スキルをまだまだ吸収して、アップデートしていかなければ…。そんな思いを強くした夏でした。

 (愛西市立永和小学校長)

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