本校は、全児童数598人の中規模校である。優しく素朴な児童で人のために動ける子が多い。学習では、自分の考えを積極的に表現する子と表現を苦手とする子がいる。そこで、学級経営を基盤に互いに心を開き、話し合い聴き合うことができる学習集団づくりと、関わり合いを通して主体的に課題解決する授業展開の2つを柱に取り組んできた。特に2023年度より子どもの振り返りを大切にして、教科の本質に迫るように、学習課題の設定や話し合いの焦点化、既習事項の活用などに取り組み、授業の改善を図っている。
(1)他者意識を含む、単元を貫く目的意識のある学習活動を構想する。
(2)目的意識を追究する過程で、学びを振り返ったり新たな視点を得たりしなければ乗り越えられないような課題(【かべ】)を設定する。
3年理科「電気の通り道」の授業では、出会う段階で、校務主任から「クリスマスツリーを飾りたいが数がないので、助けてほしい」と、依頼文が届いた。「先生を助けてあげたいし、みんなにも喜んでもらいたい」などと話す子どもたちの姿が見られ、「クリスマスツリーを作ってみんなを喜ばせたい」という目的意識を持てた。
深める段階では、まず豆電球に明かりをつける仕組みを学んだ。いざ、クリスマスツリーに飾りを付けていくと、点灯しないツリーがいくつか出てきた。回路が一つの輪になっているはずなのに、明かりがつかない事象から【かべ〓回路になっているのに豆電球が点灯しないのはどうしてだろう】が現れた。子どもたちは、導線のつなぎ方を振り返る活動を通して「電気を通す物と通さない物がある」という新たな視点に気付き、目的意識を達成するための見通しを持つことができた。その後、原因となった箇所を修正し再度クリスマスツリーのスイッチをつけると、見事に豆電球が点灯し、子どもたちは「ついた」と喜びの声を上げた。
広げる段階で、子どもたちは、ミニクリスマスツリーを製作して、全校に配付した。学校中のみんなを喜ばせることができ、さらに依頼主の校務主任や全校の子からお礼の手紙をもらい、子どもたちは喜んでいた。
単元を貫く目的意識を持たせ、授業を展開したことで、子どもたちの追究意欲を高めることができた。また【かべ】を設けたことで、既習事項を活用し【かべ】を乗り越えていく姿が見られ、基礎学力の定着につながった。さらに、お礼のメッセージをもらい喜ぶ様子から、子どもたちの自己肯定感や成就感の高まりを伺うことができた。
今後の研究ではより一層、「子どもの姿から学ぶ」という視点に立ち、子どもの実態や思考、理解のさらなる把握に努め、子どもたちが課題を解決するための効果的なグループ構成や活動の方法などの工夫を重ねていきたい。
(文責・牛山晴登校長、執筆・酒井知也教務主任)