「自ら問いを見つけ、学び続ける生徒」の育成 蒲郡市立大塚中学校

「自ら問いを見つけ、学び続ける生徒」の育成 蒲郡市立大塚中学校
仲間の製作した巣箱について、より強度を強くするための方法を話し合う生徒の姿
【協賛企画】
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主題設定の理由

 本校は一小一中の小規模校である。お互いに気の知れた仲間が多く、言われたことに対して、素直に向き合い努力しようとする姿が見られる。学級、学年、生徒会、委員会、など、さまざまな場面で生徒一人一人が活躍をする場面が多く、役割を担うことで、責任感や、人を動かす力を育成しやすい環境にある。

 しかし、なにか問題やトラブルがあっても、その場の雰囲気で何となくまとまってしまうことが多い。こうした生徒たちが、これからの時代を生き抜くために、さまざまな変化や情報と積極的に向き合い(主体的な学び)、他者と関わり合いながら課題を解決していくこと(対話的な学び)で新たな価値につなげ、目的を再構築できるようにすること(深い学び)が求められている。そこで、生徒たちには自分の見つけた「問い」をさまざまな視点から考え、疑問を持ち、さらなる学びを得るために学習を進め、よりよい未来を拓いて行くことができる人に成長して欲しいと願い、「『自ら問いを見つけ、学び続ける生徒』の育成」を研究主題とした。

仮説と手だて

 本研究の仮説を『生徒が「問い」を見つけ、学び続けられる単元を構想し、個の学びによって自分の考えをまとめ、仲間と必要感のある関わり合いの場を意図的に設定し「問い」を解決させていけば、さらなる学びを得るために学習を進められる生徒を育成できるだろう』とした。そして、(1)生徒が問いを見つけられる魅力的な教材との出会いと学び続ける単元の構想(2)個の学びの充実(3)意図的な関わり合いの場の設定――の3つの手だてを講じ、研究の実践に取り組んだ。

実践の様子

 中学1年技術科「材料と加工の技術」の単元では、国語科「言葉をもつ鳥、シジュウカラ」の単元をきっかけに、学びの発表の際にある班が製作した巣箱をもとに、構造を丈夫にする技術について考えた。製作した巣箱では、構造的に弱く、巣の中の鳥を守れないことに気付いた。「構造を丈夫にする工夫を知りたい」という問いを持つことから授業がスタートした。バルサ材を使用して巣箱の模型を再現し、製作した巣箱に重りを落とす強度試験を行った。そして、木材の性質、補強材料、さまざまな構造など、丈夫にする工夫について考えを深めた。また、製作と試験を繰り返すことで試験の結果や仲間との関わり合いから学んだことを製作に生かすことができた。

研究のまとめ

 教材との出会いを工夫した単元を構想したことで、生徒は自ら問いを見つけ、単元を貫いて問いを追究する姿が見られた。また、個の学びの時間を十分に確保したことで、一人一人が、丈夫にするための構造を見つけ、自分の巣箱に取り入れた。そして、関わり合いの場では、困り感のある仲間にアドバイスすることを通して、自分の考えた構造にもさらに工夫を加え、もっと丈夫な巣箱を作ろうと追究を深める姿が見られた。

 今後も自ら問いを見つけ、学び続ける生徒の育成を目ざして、研さんを積んでいきたい。

 (文責・多田敦校長、執筆・竹内清師教務主任)

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