「自律し 学び続ける 太子っ子」の育成~子ども中心の学びを意識して~ 名古屋市立太子小学校

「自律し 学び続ける 太子っ子」の育成~子ども中心の学びを意識して~ 名古屋市立太子小学校
疑問や予想を発表する子ども
【協賛企画】
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はじめに

 本校は1973年に開校し、2022年度に創立50周年を迎えた児童数398人の小学校である。学区の近くには、有松の町並みや桶狭間古戦場公園など、地域の歴史や伝統文化に親しむ場所が多く残っている。そのため、総合的な学習の時間では、5年生で有松絞体験を基点に、地域の文化について調べたり、6年生で桶狭間の戦いについて古戦場近くのお寺の住職から話を聞いたりする活動を行っている。

本校の研究について

 名古屋市では、23年9月に「ナゴヤ学びのコンパス」が策定されて以来、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図るため、「子ども中心の学び」が重要視されるようになった。本校においても、一昨年度は「協働的な学び」、昨年度は「個別最適な学び」を中心とした実践を行うことで、生き生きと学習する子どもたちの姿が多く見られるようになった。昨年度末の学校アンケートでは、「自分で計画を立てながら勉強することができたから、やりやすかった」「自分だけでは分からないことも、みんなで考えると分かるから楽しい」など、実践の成果を見ることができた。

 本年度は、昨年度までの成果に加え、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一層の充実を図るため、授業の導入部分での資料提示の工夫に焦点を当て、研究を進めていくこととした。

本年度の実践

 5年生社会科では、水産業の仕組みについて、一人一人が意欲的に調べ学習に取り組むことができるよう、教師オリジナルの動画資料を提示し、疑問や予想がたくさん出るようにした。普段の何気ない生活の不思議を取り上げた教師オリジナルの動画資料を見た後には、漁の方法や、魚の加工方法、鮮度を維持した運搬の方法について、たくさんの疑問や予想を学級全体で話し合いながら共有することができた。この話し合いをきっかけに「生きたまま運べるトラックを見たことがあるから、それで運んでいるのではないかな」と予想をした児童は、調べ学習になると、教科書や資料集だけでなく、インターネットや乗り物図鑑も使って、自分の考えた予想を解決しようと努力する様子が見られた。単元の導入部分での工夫が、調べ学習時における一人一人の自律した学びをかき立てる結果につながった。

おわりに

 学習後の子どもたちに授業の感想を聞くと、「みんなで予想して話し合ったので、調べたいことがすぐに見つかった」「自分が気になったことを調べていけるので楽しい。自主勉強でも調べてみようと思う」など、この3年間の実践の成果を感じる言葉を聞くことができた。今後も「子ども中心の学び」をより充実させていけるよう、本校職員一同、児童一人一人の学びの伴走者として寄り添っていきたい。

 (文責・河合清二校長、執筆・野田裕磨教諭)

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