Q 小学校4年生の担任をしています。クラスに友達づくりがうまくいかず孤立している子供がいます。昼休みに多くの子供たちが外で遊んでいても一人教室で過ごしています。「友達と遊んだら?」と促しても他の子供たちの中に入ろうとしません。この子の性格だからとあまり神経質にならないようにとも思いますが、心配です。どうしたらよいでしょうか。(男性・教師歴4年)
A クラスに一人でも孤立している子供がいると、担任としては、とても心配になりますね。すぐにでもなんとかしたいという思いはよく分かります。しかし、焦る必要はありません。むしろ、焦ることは禁物です。教員として、大人として、広い視野で子供たちを見守り、先を見通して子供たちを育みたいものです。
(1)じっくり観察
まず、その子やクラスの子供たちがどのような状態にあるのかをじっくりと観察することが大切です。その際、他の先生方の力を頼ることもよいでしょう。自分なりの感覚だけで判断するのではなく、同じ学年の先生や授業を担当する先生、以前の担任の先生など、人によって見方は異なるかもしれません。さまざまな見方を知ることも必要です。
場合によっては、保護者の力を借りることもよいでしょう。その子の得意なことや困っていること、クラスの中での立ち位置、その子を取り巻く人間関係など、現状を把握することが大切です。
(2)しっかり寄り添い
現状を把握できたら、どうアプローチするとよいかを考えます。友達づくりがうまくいかない子供は、人と関わることに対して不安に感じていることが多いため、その気持ちにしっかりと寄り添い、安心感を与えることが必要となります。
そこで、まず大切なことは、クラスがその子にとって安心して過ごせる場所であると感じさせることです。何気ない日常の中で声を掛けたり、笑顔で視線を合わせたりすることを積み重ね、担任として、子供とのつながりをつくります。
場合によっては、時間がかかるかもしれませんが、信頼関係を築くことが大切です。これは、クラスのどの子にも通じることです。
(3)ゆっくり育む
その子との信頼関係を築くことができたら、「友達と遊んだら?」ではなく、「一緒に遊ぼう」と声を掛け、教員が子供たちを「つなぐ」ことができます。また、小学4年生であれば、レク係などを活用して、学級活動の時間を充実させることもよいでしょう。始めは教員が主体であっても、何度か繰り返しながら徐々に子供たちに主体を移し、子供たち同士の関係を築いていきます。
一方で、その子の個性を尊重しながらも、人と関わる力を育みたいものです。それは、学級の子供たちにも同じことが言えます。また、集団で生活をする学校だからこそ育むことができると考えます。
そこで、朝の会や帰りの会などを活用し、ソーシャルスキルトレーニングやアサーショントレーニングなどを取り入れることも有効です。また、授業や学級活動において、教員が意図を持ってグループ活動に取り組ませ、役割を持たせることで、子供たちが自然に関わる機会をつくります。こうすることで、緊張感が少なくなり、友達づくりがしやすくなります。
すぐに効果が現れないかもしれませんが、ゆっくりと育むことは大切です。
子供たちはさまざまな経験を積み重ねることで成長し、自分自身をつくります。その子供たちが、やがて社会に出たそのとき、自分自身の足で、自分の道をしっかりと歩いて行けるよう、人との関わり方を教え、生きる力を育むことは、学校の、教員としての役割でもあると思います。
(三川純代・稲沢市立千代田小学校長)