PTAの全国組織「日本PTA全国協議会」(太田敬介会長)の運営に不適切な状況が疑われるとして、内閣府が公益法人認定法に基づく行政指導をしていたことが11月5日、分かった。公益法人担当を兼務する三原じゅん子こども政策担当相が同日の閣議後記者会見で、内閣府の公益認定等委員会が報告要求を行ったことを明らかにした。
同協議会は公立小中学校などのPTA組織を束ねる公益社団法人。2023年度の会員数(児童生徒数)は716万人に上るが、地方組織には退会の動きが目立っている。
公益認定等委員会は9月に立ち入り検査を実施。運営の適正さに疑義があるとして、10月11日、書面での報告を求めた。三原担当相は「詳細は差し控えるが、事実関係の精査を行っている段階。提出される報告の内容を踏まえて、適切に対応したい」と述べた。
同委員会の報告要求の文書では、経理や文書管理で実務の責任や権限がある事務局長、事務局次長が不在の状態が複数年続き、内規に反して常勤の事務員1人が担当していたと指摘。また、23年度の事業報告などを承認する理事会について、法令では社員総会の2週間以上前に開催すべきだが、総会3日前に臨時に開催していたという。
印章管理に関しては、法人印、会長印、代表理事印、銀行印をそれぞれ保有する管理規定を定めているが、会長印、代表理事印、銀行印が同一だった点も指摘している。その上で「法令に則った運営への認識が乏しく、適正な運営が図られているとはいえない」と厳しく言及。状況説明とともに問題点の原因、改善策についても説明を求めている。
公益法人の事業は公益目的として税制優遇があるが、報告書提出後も改善がない場合、内閣府は勧告や命令を出し、不適格と判断すれば、公益法人の認定を取り消すことがある。