「財務省案に危惧、教育予算拡充を」 教育23団体が全国集会

「財務省案に危惧、教育予算拡充を」 教育23団体が全国集会
教育予算拡充を求めるアピールを採択した教育関係23団体の集会=撮影:山田博史
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 校長会や教職員組合など教育関係23団体でつくる「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」の全国集会が11月27日、参議院議員会館で開かれ、教育予算の拡充などを求めるアピールが採択された。アピールでは、教員給与を巡る財務省案について「必要な教育指導が行えなくなることを危惧する」と指摘。教職調整額の大幅な引き上げを含めた処遇改善や教職員定数の改善などが必要だと強調し、近く文部科学省などへの要望活動を展開することにしている。

 集会には、全国連合小学校長会や全日本中学校長会、日本教職員組合など23団体の代表ら約300人が参加した。初めに日本PTA全国協議会の太田敬介会長があいさつに立ち、「九州地区のアンケートで、教育予算で増額してほしいことを聞いたら、教職員の8割が教職員の増員を挙げた。いつも忙しそうで子どもたちが先生に話し掛けにくいなどということはあってはならず、必要な教育環境の整備、教育予算の獲得に力強く声を挙げていきたい」と訴えた。

 また、来賓として出席した阿部俊子文科相は「学校を取り巻く環境が大きく変化する中で、教師の皆さまが安心して本分に集中できる環境づくりこそ必要だ。そのために職責にふさわしい処遇の実現に加えて、長時間勤務を縮減するメカニズムの構築や教職員定数の改善、支援スタッフ充実など学校の指導運営体制の充実について、文部科学行政の最重要課題として進めていく」と述べた。

 続いて会場では、「子供たち一人一人に対するきめ細かな教育の実現のための教育予算拡充を求めるアピール」の文案が読み上げられ、拍手で採択された。

 アピールでは、教員の給与を巡って財務省が示している、働き方改革を進めることを条件に教職調整額を段階的に引き上げるなどとする案について、「学校の業務が困難化している実態を考慮せず、教職員定数の改善等を示すことなく時間外在校等時間の縮減を給与改善の条件としており、子どもたちに必要な教育指導が行えなくなることを危惧する」と指摘。子どもたちの学びを保障するため教員不足への抜本的な対策が必要だとして、働き方改革の加速化や教職調整額の引き上げを含む処遇改善などを一体的に進めることが不可欠だと強調している。

 その上で具体的な取り組みとして、▽小学校の教科担任制の中学年への拡大などに向けた教職員定数の改善▽教員が教員でなければできないことに集中できる環境整備のため、業務適正化の徹底や支援スタッフの充実▽教職調整額の大幅な引き上げや、新たな職の職および級の創設など、職務の重要性に応じた処遇の実現▽運用面への支援も含めた学校のICT環境の一層の整備充実▽各施策の実現に向けて、既存の教育予算の削減や付け替えでなく、計画的・安定的な財源を確保すること――を求めている。

 23団体は今後、こうした施策の実現に向けて文科省などへの要望活動を進めていく方針。

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