【私を支えた「この一冊」(50)】声を届ける

【私を支えた「この一冊」(50)】声を届ける
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 教職5年目に受講した国語科研修の修了式で「あなたはよく通る声をしていますね。もう少し『声』についての勉強をしてみませんか」と声を掛けられた。

 自分の声にコンプレックスのあった私が、ちょっと浮かれ気分のまま軽い気持ちで参加した学習会で講演をされたのが高橋俊三先生であった。

 高橋先生が講演の中で話された「言葉は声である。作者の声を受け止め、その声を聞き手に届ける。それが音読・朗読である」という本書にも記されているお言葉は、深く考えずに音読をさせていた当時の私を大きく揺さぶり、音声言語教育に関する実践研究を始めるきっかけとなった。

 その数年後、私の拙い実践報告に対して「あなたが子供たちのためにチャレンジしたことに意義があるのですよ」という温かいお声を掛けていただいたことも強く心に残っている。

 「声を届ける」ことにこだわり、音声言語教育の世界を切り開いた高橋先生の声と言葉は、この本と共に今の自分を支えている。

 (井本孝男・名古屋市立上社小学校長)

高橋俊三 著 三省堂
高橋俊三 著 三省堂
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