【先輩からのとっておきアドバイス】 中学校の教科指導

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Q 中学校の教科指導に悩んでいます。同学年の複数学級をベテランの先生と2人で受け持っています。学年当初、大まかな指導方法については話し合って進めていますが、具体的な指導方法については、勤務時間後に打ち合わせや校内研修する時間も十分に取れません。どうしても定期テストの平均点に差が生じてしまい、子供たちに申し訳ない気持ちになります。どうしたらよいでしょうか。(女性、教師歴3年)

 

A 私は初任者として中学校に赴任し教員生活をスタートしました。教科指導では質問された先生と同様に、同じ学年をベテランの先生と2つに分けて受け持った経験があります。その結果も質問された先生と同様に定期テストではベテランの先生の教えた学級と平均点の差が生じ、自らの指導力のなさに随分と情けない思いをした記憶があります。質問された先生はそうした現状から子供たちに申し訳なさを感じ、目を背けず指導方法を改善しようと意識されており素晴らしく思います。実際のところテストの平均点はさまざまな要因で変わっていくものですが、ここではどのようにして指導の質を向上させ、子供たちに公平な教育を提供することができるかについて考えることにします。

 まず、ベテランの先生と同じ学年を指導していることを唯一無二のチャンスと捉え、その間にその先生の技をいかに吸収するかということです。そのためには、ベテランの先生との小まめなコミュニケーションが不可欠です。勤務時間後に十分な打ち合わせの時間を確保することが難しい場合でも、昼休みや放課後などの時間に話をすることにより、具体的な指導方法や進捗(しんちょく)状況を共有することができます。その際、事前に指導計画を共有し、授業中の生徒の様子や授業の振り返りの記述などをお互いに交換し合いフィードバックを行うことで、指導方法の改善点を見つけることができます。また、勤務時間後に具体的な指導方法についての打ち合わせや研修とありますが、言葉による説明だけではどうしても多くの時間がかかってしまいます。できればベテランの先生が、生徒たちを前にどのように指導しているのかを実際に見ることが最も効率的です。生徒への発問や指示の仕方、発言への対応など実際に見て学ぶことにより、短時間で大きな成果が得られます。さらには、ベテランの先生に自分の授業を見てもらうことも大変効果的です。特に自分では気付かない癖や分かりにくい言い回しなどに気付くことができます。こちらも短時間で大きな成果を得ることができます。空き時間などを利用し、お互いの授業を参観できるとよいでしょう。

 次に、現職教育を有効に活用することです。校内の現職教育では各校の研究テーマに沿って各自の計画に基づき実践を進めていきます。その中で自分の授業を公開したり、他の先生の授業を参観したりすることで具体的な手だてや教師支援の在り方などについて全職員で協議し、深め合うことができます。学習指導に対する基本的な考え方が理解できるとともに教科を越えたより広い視野で実践的な知識を得ることができます。一方、市町における現職教育では教科や分野ごとに部会が設けられ各校の代表が集まり研究を進めます。ここでは各教科のエキスパートの先生から今日的な課題を知り指導法のアイデアを取り入れ、専門性を高めることができます。さらには他校の様子を知るよい機会になります。

 最後に、私の回答をご覧になり、ベテランの先生に迷惑を掛けるのではと心配されたかもしれません。しかし、決して遠慮することはありません。今、ベテランと言われる先生方も以前はその先輩方にお世話になっています。そして、人の役に立てることが何よりの喜びなのです。質問された先生の教師としての成長は、子供たちの成長に直結します。応援しています。

 (向井義則・安城市立安城東部小学校長)

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