(読者の窓)文化の継承

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 毎年4月第1日曜日に石巻神社で鬼祭りが行われます。源頼朝の病気回復祈願のお礼参りに鬼面が奉納されたことから始まったとも言われ、古くからある祭りです。祭りの見どころは、赤鬼、黒鬼、小鬼が拝殿奥から登場する所作と獅子の舞。そして、この祭りの山場は境内を大暴れする鬼が、たんきり飴の入った白い粉をまき散らすところです。この粉を浴びると夏病みしないと言われています。

 この祭りの小鬼は小学6年生、獅子は中高生あたりが役目を担っています。舞などの所作は、氏子青年により受け継がれ、子供たちは、地域の方々に何日もかけて指導され当日を迎えます。世代をつなぎ、地域の人々の心を結ぶ祭りは、地域の一人一人が役割を担い協力し合うことで継承されています。

 さて、本校にも1978年から続く伝統行事「野外劇」があります。石巻山を背景に校庭を舞台として、全校児童が心を一つにして劇を創り上げます。民話をもとにしていますが、時代に合わせて脚本を見直しています。今年の演目は『だいだらぼっち』で、「共生」をテーマに仲間とは何かを考えます。人々が誰とでも心を通わせ、勇気と優しさをもって寄り添っていく心の美しさや態度の尊さを伝えたいと思います。

 時代とともに変化する面もありつつ、大切にしたいものはこれからも継承していく。その中で子供たちは育っていきます。学校も地域もそれぞれの役目を担い、文化を引き継いでいます。

 (明田千恵美・豊橋市立石巻小学校長)

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