臨時国会での石破茂首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が12月2日から始まり、石破首相は、公立学校の教員の働き方改革などを問われ、給特法について「さまざまな議論があると承知をしており、予算編成過程で調整を進め、こうした教師の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めていく」と述べた。
11月29日に行われた所信表明演説で、石破首相は教育について「『人づくりこそ国づくり』。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進める」と述べている。この所信表明演説について、12月2日の衆院本会議で質問に立った立憲民主党の石川香織議員は「残念ながら教育分野に関して、所信表明演説では1行と5文字のみしか触れられていなかった」と批判。石破首相の学校の働き方改革に対する具体的な答弁を求めた。
その上で石川議員は、教員の処遇改善として教職調整額を13%に引き上げる文部科学省の方針は一定の評価をするとしつつ、教員が定額で働く状況を変えるために、給特法を廃止して、民間などと同様に、時間外勤務時間に応じて残業代が全額支払われるようにすべきだと主張。石破首相の見解を問うた。
これに対し石破首相は、学校の働き方改革に関して「業務の仕分けを行った学校・教師が担う業務に関する3分類に基づく、業務のさらなる厳選・見直しや、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速を進めるとともに、学校の指導・運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減する」と答弁。「給特法についてはさまざまな議論があると承知をしており、予算編成過程で調整を進め、こうした教師の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めていく」と述べた。
公立学校の働き方改革と処遇改善を巡っては、来年度予算案の概算要求で、給特法で定められている教職調整額を13%に引き上げることを求めている文科省と、教員の時間外在校等時間を削減するなどの1年ごとの目標が達成できれば、次年度の教職調整額を段階的に上げていき、10%まで引き上げた段階で、残業代を支給する仕組みへの移行を検討することを提案した財務省が対立している。