石破首相は明確な姿勢を示さず 高校授業料無償化

石破首相は明確な姿勢を示さず 高校授業料無償化
衆議院本会議で答弁する石破首相=衆議院インターネット中継より
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 石破茂首相は12月3日、衆議院本会議の代表質問で、高校授業料を含めた教育無償化に関する質問に対し、「教育の機会均等という要請の中で、どこまで家計の負担軽減を図るべきか、引き続き考えるべき課題。教育の機会均等や少子化対策の観点から効果を見定めつつ取り組む」と答弁し、明確な姿勢を示すことを避けた。「所得制限のない高校授業料の無償化は、次の通常国会までに恒久的な制度として実現させたいと考えている」とする日本維新の会の前原誠司共同代表の質問に答えた。

 臨時国会の石破首相の所信表明演説に対する代表質問で前原氏は「所信表明演説で人づくりこそ国づくりと語った首相と、われわれの方向性に違いはない。政府が腹をくくれば実現できる。何より優先して高校生のため(無償化の予算)6000億円を確保すべき」と、高校授業料や大学などの高等教育を含めた教育費完全無償化を訴え、石破首相に決断を迫った。

 これに対し、石破首相は「高校の教育費は低所得世帯の支援を拡充してきた。こうした基盤となる国の制度と、地域の実情を踏まえた地方自治体による上乗せ支援が一体となって行われることが適切。また、高等教育については、2025年度からは対象となる多子世帯への支援で所得制限を撤廃する。まずはこうした支援拡充を確実に実施した上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から効果を見定めつつ取り組む。それらを考える際には、こども・子育て加速化プランにおける児童手当の抜本的拡充や、高等教育の負担軽減など家計を支援するさまざまな施策を考慮する必要がある」と応じた。

 続いて、公明党の斉藤鉄夫代表も代表質問で多子世帯への支援拡充、給付型奨学金の創設などで高校生や大学生などへの支援拡充を求めた。さらに災害対策に関連して、避難所となる公立小中学校の体育館のエアコン設置について、「公立小中学校の教室のエアコン設置は急速に進んだが、体育館は2割程度。5年を目途に100%の設置を政府に提言してきたが、地方自治体の負担は大きい。自治体への支援は引き続き必要」と要望。石破首相は、公明党の提言も踏まえて、臨時特例交付金を創設して整備のペースを2倍に加速することを説明した。

 教育関係では他に、立憲民主党の小川淳也幹事長が国立大学など高等教育無償化に加え、学校給食の無償化を求めた。石破首相は「学校給食の実態調査を踏まえ、給食未実施校、実施校でも給食を食べない児童生徒には恩恵が及ばないといった児童生徒間の公平性、低所得世帯の児童生徒はすでに無償化されていることに伴う支援対策の妥当性、いわゆる三位一体改革により税源移譲、一般財源化を図った経緯を踏まえた国と地方の役割分担、少子化対策としての政策効果など課題を整理していく」と答弁するにとどめた。

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