子供たちの可能性を引き出す 『令和の日本型学校教育』の学びの在り方(2年次) 第64回愛知県総合教育センター研究発表会

子供たちの可能性を引き出す 『令和の日本型学校教育』の学びの在り方(2年次) 第64回愛知県総合教育センター研究発表会
基調提案の聴講場面
【協賛企画】
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 11月29日「子供たちの可能性を引き出す『令和の日本型学校教育』の学びの在り方」をテーマに「第64回愛知県総合教育センター研究発表会」が同センターにおいて開催された。午後日程はウエブ会議システム(Zoom)を用いたオンライン開催とし、今日的な教育課題や教科指導についての研究を学校・教育委員会・大学と連携して進め、講演および4分科会による研究発表・研究協議が行われた。(※講演内容は1月号に掲載)

 なお、1月31日までの期間限定で、今年度の研究発表会の一部をオンデマンド動画配信する。

【第1部会(小中高特)】

「自ら学ぶ力の育成に関する研究(中間報告)」

 これからの時代を生き抜く子供たちが身に付けるべき「自ら学ぶ力」について解説するとともに、研究協力校が研究の進捗(しんちょく)状況を含め、研究協力校で設定した「自ら学ぶ力」について、小学校・中学校・義務教育学校・高校・特別支援学校の先生方に参考となる実践報告を行った。

 研究協力校である江南市立宮田小学校では、自ら学ぶ力を「未知の問いに対してこれまでの自分の経験や知識を総動員させ、『ああでもない』『こうでもない』と互いの話を聴き合いながら問いに諦めずに取り組む力」とし、具体的な手だてとして、教科書で学ぶ内容を超えたジャンプの課題(通称:宮笑課題)に取り組んでいる。

 愛知県立豊丘高校では、自ら課題を発見し、自ら学ぼうとする生徒を育成するため、「行事ノート」というワークシートを活用することで、AARサイクル(A学習の見通しをもつ・A学習方略を身に付ける・R学習を振り返る)を回す取り組みを行っている。今年度は、1学期中間考査後に1・2年のオープンスクール委員が集まり、ワークシートを使って「どのように取り組みたいか」や「個人の目標」を書いた。

 とりわけ興味深いのは、学習プロセンスAARサイクルである。

 児童生徒がAARサイクルを円滑に回すためのポイントについて、児童生徒が学習に見通しをもつこと、学習方略を身に付けること、振り返りを行うこと、それをまた次の学習への見通しへとつなげていくことが大事であることを確認した。

【第2部会(小中)】

「全国学力・学習状況調査に関する研究」

 全国学力・学習状況調査の各教科における問題および質問調査から本県の児童生徒の傾向を分析し、全国の結果や本県の経年変化などとの比較、正答率や無回答率の状況にも着目しながら学習改善・授業改善のポイントを把握した。今回の研究は、「できるだけ楽しみながら基礎・基本の定着を図ろう」「『主体的・対話的で深い学び』の実現に向けた授業改善に取り組もう」「1人1台端末を積極的かつ効果的に活用し、学習活動の充実を図ろう」の3つの授業改善の方向性を基に進められた。

 また、児童生徒の学力・学習状況の向上・改善のために「学力・学習状況充実プラン」を作成し、調査結果の分析から見えてきた各教科の課題を踏まえ、「児童生徒に、つけたい・伸ばしたい力と授業改善のポイント」という観点で、授業のポイントなどをまとめた。そして最後に、児童生徒が関心・意欲をもち、対話を通して学ぶ意味や価値を実感する場面、各教科の特質に応じて見方・考え方を発揮する場面、ICTを効果的に活用する場面を「授業アドバイスシート」として作成し、動画で解説した。

【第3部会(高特)】

「『探究の過程』を踏まえた授業の改善と充実に関する研究 県立高等学校教育課程課題研究(理科)」

 高校理科の各科目において、生徒が探究的に学習を進めていく授業モデルを提案することを目指して研究を進めてきた。また、指導と評価の一体化を踏まえ、生徒の学習状況の評価から単元における効果的な指導の在り方について、工夫や改善に生かす取り組みも行ってきた。高校理科の授業づくりに当たって参考となる実践として、物理班では、「物理」の「様々な運動」における単元「円運動と単振動」の中で、単振り子を取り扱った生徒実験の方法を工夫した。単振り子の周期がどんな物理量と関係しているかについて、生徒が仮説を立てて実験することで、より探究の過程を踏まえた授業となるよう工夫した。

 化学班では、「化学基礎」の「物質の変化とその利用」における単元「化学反応」の中で学習する金属の酸化還元反応において、パフォーマンス課題を取り入れた生徒実験を考案した。既存の知識を活用しながら生徒が主体的に実験計画を立案したり、他の生徒と考えを述べ合ったりして、対話的な活動が促進されるよう授業展開を工夫した。

 生物班では、「生物」の「生態と環境」における単元「個体群と生物群集」の中で標識再捕法を取り扱い、学校の敷地内や近隣の草むらにおける野外調査を通して、探究的かつ経年的に学習できる授業モデルを考案した。また、調査で得られたデータの処理や考察、気付きの共有において、ICT機器の効果的な活用を意識した。

【第4部会(高特)】

「『主体的に学習に取り組む態度』の評価に関する研究 県立高等学校教育課程課題研究(英語)」

 観点別評価の一つである「主体的に学習に取り組む態度」について、単元を通した指導に基づき、妥当性と信頼性を確保した評価の在り方について研究した。指導と評価の一体化の観点より、「思考・判断・表現」と一体的に行う評価や、振り返りシートを活用した評価などについて実践と考察を行い、その研究成果が報告された。

 単元目標を具体的に設定し、中間評価を充実させることで「思考・判断・表現」と一体的に行う実践を行った。また、プロセスライティングにおいて、生徒間の相互評価や授業者からの助言を基にした推敲の過程を可視化することで「粘り強い取り組みを行おうとする側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」を見取る工夫をした。

 さらに、ノンバーバルスキルの評価を「主体的に学習に取り組む態度」の観点で評価する可能性についての報告を行うとともに、振り返りシートの在り方についての研究成果として作成した汎用(はんよう)的な振り返りシートを参加者に編集可能なデータで提供した。

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