Q 教職1年目です。小規模な学校で、ある行事の係として責任ある仕事を任せられました。未熟な私に任せていただいたことはうれしかったのですが、何をどのようにしていいか分からず、途方に暮れてしまいました。周囲の先生方も忙しそうで手伝ってくれません。尋ねることも申し訳なく思います。与えられた仕事を全うしたい気持ちはあるのですが、職場の中でどのように対応したらいいのか悩んでいます。良いアドバイスをお願いします。(A、男性、教師歴1年)
A
小規模校では、職員数が限られているため、教職経験年数が少ない方であっても、責任の重い、いくつもの校務分掌をお願いすることがあります。また、年代の近い職員がいないことがあり、相談がしづらいことも多々あります。ただ、子供たちも職員も少人数だからこその絆の深さを感じられるという利点があります。
A先生は、教員としての勤務を始めたばかりですから、思い悩むことが多いと思います。そして、周りを見ると、先輩・同僚の先生方が忙しそうに見え、質問することもはばかられるように感じるというお気持ちも理解できます。ただ、仕事をきちんとしていきたいと思いを持って、勤務されていることはとてもすてきなことです。本稿では、ぜひ、その思いを具現化できるよう、参考になればと書いてみます。
どんなに忙しいときでも、相談してもらって、嫌な気持ちになる先生はいないと私は思います。私がこれまで出会った先生方を思い起こしてみても、頼られることに喜びを感じる先生が、多くいたことは間違いありません。特に、「きちんと仕事をしていきたい」という思いが伝われば、喜んで相談に乗っていただけると思いますし、先生のために一肌脱ぐという思いで関わってくださると思います。
(1)仕事の進め方が分かる
学校行事を進めていくとき、前年度の反省を見て課題を確認し、今年度の改善点を含めた企画をし、関係するところで連絡調整をし、職員会議に起案をしていきます。そうした仕事の進め方には、それぞれに技やコツがあります。先輩から、技やコツを教えていただくと、今後、仕事を進めるときに役立ちます。また、先輩は、行事をよりよくするアイデアも持っているはずですから、教えていただくと行事がよりよいものになります。
(2)先輩になったとき、後輩を助けたいと思えるようになる
今は1年目ですから、先を見通すことはたいへん難しいことと思いますが、先生も、今後、先輩になり、後輩を職場に迎えます。そのとき、今の思いや助けていただいた先輩たちを思い起こしたときに、この経験が役立ちます。
(3)何よりも、子供たちの笑顔につながる
先生が行事をよりよいものにしていくと、それは、子供たちの笑顔につながります。子供たちが一生懸命に取り組む姿や満足感を得て笑顔になる姿を見ることは、私たちの仕事のやりがいではないでしょうか。
とはいえ、いきなり進めることが難しいようでしたら、まずは、管理職の先生に時間をとってもらって、話を聞いてもらってはいかがでしょうか。管理職の先生方は、きっと先生の思いに気付かれていて心配されていると思います。先生の話を聞いた上で、同僚の先生との橋渡しをしてくれるはずです。そして、行事をやり遂げるまで伴走して声を掛けてくださるはずです。
A先生がご自身の中にため込むことなく、周りの方から助けてもらうことで、行事を成功させる体験をしてほしいと願います。そうしていくことこそが、先生が教員を目指された初志にかなうこととなり、今後、よりよい教員になろうと学んでいくモチベーションにつながると考えます。
(村松敦雄・設楽町立清嶺小学校長)