政府は12月27日、2025年度予算案を閣議決定した。文部科学省は5兆4029億円(前年度比645億円増)に上った。阿部俊子文科相と加藤勝信財務相の間で合意した、教職調整額の引き上げや小学4年生からの教科担任制実施などの教職員定数の改善により、義務教育費国庫負担金は1兆6210億円(同583億円増)を計上した。不登校支援として、新たに公立小中学校に設置する校内教育支援センターへの支援員配置を促進する。組織改正では、教員の養成、採用、研修と働き方改革を一元的に所管する「教育人材課(仮称)」を、初等中等教育局に新設する。
学校の指導・運営体制の充実に向けて、教職員定数は5827人の改善を図る。小学校教科担任制の4年生への拡大や新規採用教員の持ち授業数の軽減などで990人、小学6年生までの35人学級の実現、通級や日本語指導のための基礎定数化で3637人、中学校の生徒指導担当教員の配置拡充に1000人をそれぞれ増やす。
教員の処遇改善では、30年度までに教職調整額を10%に引き上げていく財務省との合意に基づき、25年度は教職調整額を5%に引き上げるほか、管理職の本給も改善。義務教育等教員特別手当の見直しも行う。これらの処遇改善は26年1~3月までの3カ月分として、34億円を計上した。
学校教育活動の充実と働き方改革のため、教員業務支援員や副校長・教頭マネジメント支援員、学習指導員の配置に116億円を充てる。
その上で、不登校支援として新たに、公立小中学校で登校はできるが自分のクラスに入れなかったり、少し気持ちを落ち着かせたかったりするときなどに利用できる、空き教室などを活用した校内教育支援センターの設置を促進していく。
校内教育支援センターは、24年7月時点ですでに公立小中学校の46.1%に相当する1万2712校に設置されているが、さらに、そこを拠点に、学習支援やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなどと連携した相談支援を行う「校内教育支援センター支援員」を配置していく。支援員は2000校に配置していく予定で、4億円を盛り込んだ。
この他、質の高い教員の確保に向けて、25年10月から初等中等教育局に、総合教育政策局教育人材政策課の教員の養成、採用、研修に加え、財務課から働き方改革を移管して一元的に所管する「教育人材課(仮称)」を新設する。