文部科学省がこのほど公表した「2023年度公立学校教職員の人事行政状況調査」の結果で、管理職選考で特別支援教育の経験などの情報を把握・管理している教育委員会は全体の約3割にとどまり、約7割は把握していないことが分かった。さらに「把握していない」と答えた教委の8割は「今後も把握・管理する予定がない」としており、同省は「今回の調査結果などを活用して、各教委で特別支援教育の専門性が評価される仕組みの構築が進むよう促したい」と話している。
同調査は、67の都道府県・政令市教委を対象に実施され、管理職選考の際、特別支援学級担任や教科担任、特別支援学校での指導といった「特別支援教育の経験など」の情報を、把握・管理しているかなどについて調べた。
このうち情報を「把握している」と答えたのは20教委(全体の29.9%)にとどまり、「把握していない」が47教委(同70.1%)に上った。また、「把握している」と答えた教委のうち、実際に管理職選考で特別支援教育の経験を考慮しているかについては、14教委(70%)が考慮していると答えた。
一方、「把握していない」と答えた47教委のうち、今後、情報を把握・管理する予定があるか聞いたところ、「予定がある」と回答したのは10教委(21%)にとどまり、残りの37教委(79%)は「予定がない」と答えた。
文科省は、22年3月に「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」がまとめた報告書で、教育委員会において特別支援教育に関する専門性が評価される仕組みが必要だと指摘したことを受けて、管理職選考にあたって特別支援教育の経験などを把握するよう全国に数回にわたって通知している。
「公立学校教職員の人事行政状況調査」では21年度から調査項目に加えられているが、特別支援教育の経験を「把握している」と回答した教委は前回(22年度調査)の18教委(全体の26.9%)から、ほぼ横ばいにとどまった。
こうした結果について、同省特別支援教育課は「文科省としては特別支援教育の充実を図る上で、特別支援教育をしっかり経験してきた方に管理職になっていただくことが重要と考えている。今回の調査や各種会議を通して、各自治体の取り組みが加速するよう要請したい」と話している。