教育無償化に向けた自民、公明、日本維新の会の3党による実務者協議が1月10日、国会内で開かれ、維新側から高校の授業料無償化に向けた工程表が示された。この中で維新は、授業料無償化に向けて所得制限を撤廃する法改正などを行い、今年4月から実施したいと提案。これに対し自民党は「法改正も必要なので、4月実施は極めてハードルが高い」との認識を示した。3党は今後も協議を重ねて、2月中旬をめどに一定の方向性を示す方針。
教育無償化を巡って、3党は実務的に協議する「無償化を含む多様で質の高い教育のあり方に関する検討チーム」を設置。昨年12月から協議を進め、高校授業料の無償化について優先して議論することで一致した。
会合後にブリーフィングに応じた維新の金子道仁参院議員によると、協議では高校の授業料無償化の所得制限撤廃に向けて、就学支援金制度に関する支給法改正を提案するとともに、必要な財源を約6000億円と説明。外国為替資金特別会計(外為特会)の一部運用など、複数の財源案についても示したという。
金子議員は「無償化が単なる経済的な家計の支援にとどまらず、全国どこでも多様で質の高い教育機会を確保できる改革につながるものにしたいとの思いで提案した」と述べ、今年4月からの実施を要望したことを明らかにした。
これに対して自民党から出席した柴山昌彦衆院議員は「4月から実施となると、予算の組み換えや修学支援制度について法改正が必要であり、真摯(しんし)に検討するがハードルは極めて高いと感じている。6000億円は決して低い金額ではなく、財務当局との検証もしなければいけない」と慎重な見方を示した。
また、公明党の佐々木さやか参院議員は「私立高校の無償化の対象拡大は党としても政策に掲げているが、今年4月からとなると時期が限られており、どんな形で実施できるか、先行実施しているところの検証も踏まえて、しっかり検討しなければならない」と述べた。
こうした意見を受けて金子議員は「ハードルは当然高いと思うが、真摯に協議しながら着地点を見いだしたい」と述べた。
自民、公明は、今回の維新からの提案を受けて、財源も含めた高校無償化についての考えをまとめ、次回以降の会合で協議を重ねることにしている。