学習指導要領の改訂に向けて、中教審初等中等教育分科会教育課程部会は1月29日、第132回会合を開き、昨年末に中教審に諮問された「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」などに関する意見交換を行った。諮問事項の基本的な方向性を議論する「教育課程企画特別部会」を設置することも決めた。
第12期の教育課程部会は、この日が最後の会合となった。諮問を受けて次期は学習指導要領の改訂に関する議論が行われることから、校種、各教科・科目の改訂の方向性に関する検討に先立ち、諮問事項の基本的な方向性などを議論するため、教育課程部会の下に「教育課程企画特別部会」を置くことが提案され、了承された。
今後の議論の進め方について、秋田喜代美副部会長(学習院大学文学部教授、東京大学名誉教授)は「まず全体像や総則を議論して校種や教科に分かれていく構造になっているが、これまでの学習指導要領では教科によって記述や在り方でかなり違いがあった。特別部会の議論の後に校種や教科別に分かれて終わりではなく、もう一度、特別部会で全体のバランスを見るなど、総則と校種・教科の関係性をより密に進めていくような会議の持ち方を考えてほしい」と要望。学習評価についても並行して議論すべきだとした。
貞廣斎子副部会長(千葉大学副学長・教育学部教授)は、学習指導要領に対する教員の共感や納得が重要だと強調。「この学習指導要領にのっとって子どもたちの学びを支援したら、子どもたちが成長していると実感できているかや、子どもの未来にどれくらい貢献できているかを実感できているかといった共感や納得によって、また新しい活動をする。そういうサイクルを生み出していけるかだ」と説明した。
また、植村洋司委員(東京都中央区立久松小学校校長、全国連合小学校長会会長)は学習内容の精選をポイントに挙げた上で、「端的に言えば量より質。子どもにとってカリキュラム・オーバーロードになっていないかという点で検討してほしい。あれもこれもではなく本当に大事な力、核となる力は何かということを絞り込んで議論していただきたい」と注文した。
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カリキュラム・オーバーロード 教育政策や社会的な要請などのさまざまな要因で、学校で行われる教育活動が肥大化し、授業時数や学習内容が増え過ぎてしまっている状態。子どもや教員に過大な負担がかかることになりかねず、さまざまな悪影響を及ぼすと指摘されている。