本校がある稲沢市では、不登校の児童生徒数の増加が顕著になっており、本校でも不登校生徒の増加は、学校の課題の一つである。昨年度、稲沢市より「魅力ある学校・学級づくり」の研究委嘱を受け、新たな不登校生徒を出さないようにするため、未然防止や初期対応、学校における生徒同士の関わりを充実させる取り組みを行った。取り組みの3つの柱として設定した、絆づくり・授業づくり・環境づくりについて紹介する。
本校では、「挨拶・感謝・協力・清掃・時間」を5つの習慣と呼び、仲間とともに、落ち着いて安心できる学校を作り上げていくための基礎の部分と捉えている。この5つの習慣の定着を目指し、学校祭など全校が一体となって活動する時期に合わせ生徒会が主体となって、これらを全校に呼び掛けた。この活動は本校のよい伝統であり、毎年継続して行っている。
また、学年では、各学級の学級委員・代議員で構成する学年委員会が、学年でつながりを深めることを目的として、学校生活の充実に向けたキャンペーンやレクリエーション大会を企画し実施した。他にも、学年の様子や全体に呼び掛けたいことなどを記事にした通信を作成し、学年行事の様子を伝えたりスローガンなどを呼び掛けたりする場として活用した。
これらの取り組みを通して、生徒の学校や学年への所属感を高めることにつなげられた。
本校における昨年度の諸課題調査の結果を見ると、学習のつまずきをきっかけにして、学校へ足が向かなくなり不登校になってしまったという状況が多く挙げられていた。生徒が学習への意欲を高く持って授業に参加し、学びを深められる授業を目指して、生徒同士の学び合いの場面を大切にして、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組んだ。友達の意見を大切にしながら課題を解決していこうとする様子が見られ、仲間と一緒に学ぶことの楽しさを実感する生徒が増えた。
いわゆる「中1ギャップ」を少しでも解消し、中学校生活への不安が少ない状態でスタートできるように、中学校の教員が、校区の小学校へ出向き、学級ごとに授業を行った。小学校の学習内容に中学校の学習内容を絡ませて授業を実施することで、学習内容のつながりや中学校の授業の雰囲気を感じてもらい、学習のスタートのハードルを低くすることができた。そして、中学校の先生の顔を知ってもらい、中学校を身近に感じることにつながった。
3つの取り組みを柱として、魅力ある学校・学級づくりに取り組んだ。不登校生徒数については、1年生で減少した。また、別室での登校や適応指導教室の利用などで状況の改善が見られるようになった生徒もある。その一方で、徐々に欠席日数が増え不登校状態になった生徒もいる。全体的に見れば、劇的な不登校生徒数の減少に結び付いていないのが現状である。今後も、生徒が学校に行きたいと思えるような魅力を持った学校づくりを進めていきたい。
(文責・坪内健二校長)