文部科学省が1月31日に公表した2024年度の「夜間中学等に関する実態調査」の結果で、全国の夜間中学53校のうち約4割は、不登校の生徒の受け入れに前向きであることが分かった。前回2年前の調査では約2割にとどまっていた。また、全国の生徒数は1969人と前回から3割近く増加し、特に30代以下の若年層の増加率が高かった。阿部俊子文科相は同日の閣議後会見で、「夜間中学で学び直しを希望する人の割合が高まっていることが分かった」と語り、夜間中学が社会の幅広い学びのニーズに対応しているとの認識を示した。
同調査は夜間中学の設置促進などに向けて、都道府県・政令市の教育委員会や学校を対象に数年おきに行われており、今回は2年ぶりに実施された。調査結果によると、夜間中学全体の生徒数は53校で合わせて1969人に上り、前回調査から26%増えた。このうち全体の約3分の2を占める外国籍の生徒は1256人で約20%増、日本国籍の生徒は713人で約40%増加した。特に16~39歳の若年層が1114人と前回より約40%増えており、同省初等中等教育企画課は「中学校で不登校だった既卒者の学び直しなど、各学校が時代に合わせたニーズに応えていると考えられる」と話している。
また、各都道府県・政令市での夜間中学の設置状況について、67都道府県・政令市のうち昨年5月時点で「夜間中学を設置済」と答えたのは31団体(46.3%)で、前回調査時の20団体(29.9%)から約1.5倍に増えた。
一方、現在、不登校の中学生の受け入れに向けた検討状況について53校に聞いたところ、併設する「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」で「すでに受け入れている」「受け入れる方向で検討・調整中」と答えた学校が4校、教育支援センター的機能として「事実上受け入れている」「事実上受け入れる方向で検討・調整中」と答えた学校が4校あった。
さらに「今後ニーズを把握しつつ、検討を開始する予定」と答えた学校が12校あり、合わせて約4割の20校が不登校の中学生受け入れに前向きであることが分かった。「検討していない」は33校(全体の約6割)だった。
2年前の前回調査では、約8割の学校が「検討していない」と答えていた。夜間中学での不登校の生徒の受け入れを巡っては、同省が16年に「本人の希望を尊重した上での受け入れも可能」と通知しており、不登校の児童生徒が増え続ける中、夜間中学の受け入れを前向きに考える自治体・学校が増えてきたとみられる。