教員の処遇改善に向けて教職調整額の引き上げなどを盛り込んだ給特法の改正案などが2月7日、閣議決定された。教職調整額の段階的な10%までの引き上げをはじめ、全ての教育委員会に教員の業務量を適切に管理する計画の策定・公表を義務付け、学校の働き方改革を後押しする。阿部俊子文科相は閣議後会見で、「学校教育の質の向上に向けて、優れた教師の人材を確保するため、法案の成立に全力を尽くしたい」と意欲を示した。
公立学校の教員の給与や労働条件を定めた「給特法」では、教員に残業代が支払われず、給料月額の4%を教職調整額として支給することが定められている。改正案では、教職調整額を来年1月に5%に引き上げ、段階的に10%まで引き上げることが盛り込まれた。教職調整額の引き上げは約50年ぶりとなる。
学校での働き方改革の推進については、長時間勤務の解消などに向けて、全ての教育委員会に教員の業務量の適切な管理や健康を確保する計画の策定を求め、実施状況の公表を義務付ける。都道府県教委には努力義務として、市町村教委への指導助言を求める。保護者や地域住民との連携も進めるため、校長が学校運営協議会で承認を得ることになっている「基本的な方針」に、教員の業務量や健康に関する内容も含める。
さらに指導運営体制の充実に向けて、学校の教育活動について教職員間の総合的な調整を行う「主務教諭」を置くことができるようにする。教諭と主幹教諭の間に置かれ、教諭よりも月額6000円程度高い処遇が想定されている。学級担任についても月額3000円の加算が想定されている。
同法案は今国会中での成立を目指し、教職調整額の引き上げ部分は来年1月から、その他は来年4月の施行を目指す。
また、給特法改正案と合わせて、大学等修学支援法の改正案も閣議決定された。政府の「こども未来戦略」に基づき、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯の子どもが大学や短大などに進学した場合、所得制限なく授業料と入学金を無償とする。上限額は授業料については国公立大54万円、私立大70万円で、入学金は国公立大28万円、私立大26万円となる。支援対象は約41万人の見通し。今年4月1日施行を目指す。
阿部文科相は会見で、少数与党で臨んでいる国会での審議に向けて、「野党の賛否は現時点で不明だが、高等教育費の負担軽減や推進の方向性、また、学校の働き方改革や教師の処遇改善の必要性については賛同していただいていると考えている。丁寧に説明して、法案の成立に全力を尽くしたい」と意欲を示した。