「このニュース、どう思う?」――。日々報道される教育ニュースについて、教員などが学校現場の目線で語る新コラム「職員室の立ち話」がスタートしました。ぜひ、同僚と「立ち話」をするような感覚でお楽しみください。
今日の話題
今日はこの人と立ち話
東京都練馬区立石神井台小学校 二川佳祐主任教諭
このニュースに書かれている提言は、現場の教員としてはどれもうなずけるものばかりでした。中でも、教職員定数改善に向けた政策として挙げられていた「教員1人当たりの授業の持ちコマ数に上限を設ける」は、本当に「実現したらいいな!」と多くの教員が思っているのではないでしょうか。
今、小学校でも教科担任制が進むなどして、持ちコマ数はある程度、抑えられるようになってきていると思います。でも、学校現場は本当にギリギリのところで踏ん張っているので、少しでも何かが崩れると一気に状況が変わってしまいます。
例えば年度途中で、何らかの理由で1人でも欠員が出ると、なかなか代わりの教員は見つかりません。そうなると、管理職や専科教員が担任を持つことになったりするので、学年内で交換して行う一部教科担任制も崩れてしまったり、一人一人の教員の持ちコマ数が増えてしまったり……。
こういうことが、全国の学校で起きているのではないでしょうか。そして、それが2人目、3人目の欠員を生むことにつながっています。
私の感覚では、週の持ちコマ数の上限が18~20コマぐらいになれば、かなり余裕が生まれると思います。できた空きコマの時間を使って、教材研究はもちろん、子どもたちの宿題や提出物をじっくりチェックしたり、どこかのクラスで子どもの対応が必要になれば、駆け付けたりすることもできる。
今日、私は空きコマがある日だったのですが、本当にそれだけで気持ちの余裕が大きく違うんですよね。
もう一つ、このニュースで学習指導要領の在り方について触れられていますが、「必修となる学習内容を精選し、一部は学校の裁量で選択とすること」の提言も、重要だと思います。学習内容を減らすか、年間の授業時数を減らすか、どちらかができなければ、もう耐えきれないと思うのです。
提言にあるように、学校の働き方改革や学習指導要領の改訂など、学校教育に関わる政策に、現場の教員の声を反映させる仕組みを導入していけるといいですよね。
例えば、学習指導要領の改訂は、現場の教員としては「手の届かないところで行われている」という感覚が強いのではないでしょうか。そういうものに対しても、「学校現場の意見を聞いてくれるようなプロセスがあったかどうか」で、現場の教員としては印象が変わると思うのです。
そのためにも、今できることを校内でも話し合い、いろいろと試してみて、声を届けていけたらな、と思っています。
【プロフィール】
二川佳祐(ふたかわ・けいすけ) 教員だけでなく、さまざまな職種の大人の習慣化の伴走をする「BeYond Labo マイチャレンジサロン」や、Canvaの教育者グループ「CEC TOKYO」など、複数のコミュニティーを運営。毎朝5時30分からVoicy「学び『続ける』!ふたかわ先生の習慣伴走ラジオ」を配信中。