次期学習指導要領を見据えた教職課程を検討している中教審初等中等教育分科会の教員養成部会は2月25日、第147回会合を開き、現在、教職課程を履修している兵庫教育大学と東京学芸大学の学生からヒアリングを行った。森田真樹臨時委員(立命館大学大学院教職研究科教授)も、今後の教職課程の改革について「私的見解」を発表し、教職課程の科目などで、各大学に自由度を与えるべきだと提言した。
兵庫教育大学は3人の学生が教職課程の科目の授業内容を説明。学校のICT環境に対応できるスキルを習得することや、防災への対応力を身に付ける必要性などを課題に挙げた。
その一人で、同学3年生の古本杏奈さんは「教育を学ぶ学生として教育行政に切望するのは、現場でも学び続けられる環境と学んだことを生かせる環境の整備だ。教員の多忙さや教員不足などが学生にとって主観的で漠然とした不安につながっている」と訴え、子どもたちと教員の実態に応じた教員や教職志望の学生の学びを要望した。
東京学芸大学2年生の髙橋鈴さんは「今の大学で受けている授業では実践に触れる機会が少なくて、具体的なイメージを持てないまま過ごしている学生が多くいる」と話し、1、2年生の段階から学校現場に行ったり、現場の教員から話を聞いたりする機会をつくるべきだと強調した。
学生らの意見に真島聖子臨時委員(愛知教育大学学長補佐)は「その人のタイミングに応じた必要な学びや選択肢がもっと自由に広がっていく(ことが求められている)。学生の学びたい、自分に足りないところを補いたい、強みを強くしたいという(ニーズに応じた)カリキュラムがもっと必要なのではないかと思った」と応じた。
また、学生らに続いて発表した森田臨時委員は、現在の教職課程について「現行の教育職員免許法施行規則が定める科目に含めることが必要な事項の区分、教職課程コアカリキュラムは全体を網羅する原理が色濃く働いているので、大学は細分化された科目を置かざるを得ないし、学生も学校種・教科ごとに定められた必修科目をモデル的に履修していかざるを得ない。双方にとって自由度がなく、学生は受け身の学習に陥りがちになることが多い」と指摘。
教職課程として必要な事項や到達目標を見直し、各大学が育成する教員像を明確にした上で、それに向けた学修内容を充実させ、効果的で体系的な授業科目を主体的に設定できる仕組みにすべきだと提案した。
これに対し佐古秀一臨時委員(鳴門教育大学長)は「教職課程で大学が独自に設定できる科目を豊かに増やして、各大学がそれぞれ、養成すべき教員像と、特にその中で主体的・探究的な学びが実現するような工夫を入れるような授業科目を設定していく方向があるのではないか」と賛同する意見を述べた。
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教職課程コアカリキュラム 教職課程の質保証や教員の資質能力の向上を目的に、教育職員免許法や同法施行規則に基づき、文部科学省で教職課程の科目について、全ての大学の教職課程で共通的に習得すべき資質能力を整理したもの。