こどもの意見聴く仕組みどうすれば こどもの貧困対策推進WG初会合

こどもの意見聴く仕組みどうすれば こどもの貧困対策推進WG初会合
困難に直面したこどもから意見を聴くための仕組みについて意見を交わしたワーキンググループ=撮影:松井聡美
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 こども家庭庁は2月27日、「こどもの貧困対策推進ワーキンググループ」の初会合を、こども家庭庁で開催した。この日は主に困難に直面したこども・若者などから意見を聴くための仕組みについて意見が交わされ、委員からは「意見を聴くことも大切だが、それに対するフィードバックがもっと重要。『どうせ言っても変わらない』と思っている子は多い」などの声が上がった。

 こども家庭庁では、こども・若者の意見を聴き、政策に反映するための仕組みとして、「こども若者★いけんぷらす」を実施している。小学1年生から20代まで約4000人が登録しており、さまざまな方法で意見聴取している。

 また、貧困の状況にあるこどもなどの意見を反映させるため、2024年度補正予算で「困難に直面したこども・若者意見反映推進事業(アウトリーチ型)」を創設。同事業の実施方針案として▽こども・若者などが直面している困難は複雑かつ複合的であり、個別性が高いことに留意▽意見聴取の対象となること自体が、スティグマ(負の烙印)を生む可能性があることに注意が必要▽意見聴取の際には、こどもの声を引き出す専門的なファシリテーターが参画し、こどもが意見を言いやすい環境のもとで実施▽大都市圏だけでなく、地方の当事者の意見も聴取できるよう留意する――などが示されている。

 委員からは、こうした事業について、さまざまな意見が出された。大橋雄介委員(NPO法人アスイク代表理事)は「専門的なファシリテーターが意見聴取を行うとあるが、専門性があるかどうかよりも、こどもとの関係ができているかが一番重要だ」と指摘。「現場で日々、こどもたちと関わって関係性をつくっているスタッフが、より意見を拾いやすくするための研修を実施するなどの方が、効率もよいのではないか」と意見を述べた。

 また、大隅有紗委員(大学生・あしなが育英会奨学生)は、いけんぷらすの登録人数の少なさについて指摘。「偏った層の意見しか拾えない可能性が高い。もっと若者に刺さるようなリーチの仕方を、考えた方がいいのではないか」と話した。

 渡辺由美子委員(全国子どもの貧困・教育支援団体協議会副代表理事、認定NPO 法人キッズドア理事長)は「アウトリーチ型で話を聴くのも大事だが、各団体が実施したアンケート調査などにも、こどもたちからの自由記述がたくさんあるので、ぜひそういったものも生かしていただきたい」と要望。

 加えて「話を聴くときだけスティグマを排除しようとしても、当事者であるこどもは日常的に身に染みて感じている。スティグマを排除することが『貧困は悪いこと』とか『隠さなきゃいけないこと』だと思わせることにつながるのではないか。経済的貧困はこどものせいではない。経済的貧困をなくしていく必要はあるが、隠していくことではない」と強調した。

 また、委員からはこどもの声を聴くことだけでなく、それに対するフィードバックの重要性についても指摘が相次いだ。花田悦子委員(全国児童養護施設協議会、児童養護編集委員長)は「フィードバックがなければ、もうこどもたちは言わなくなる。『どうせ言っても変わらない』と思っている子は多い。何か手助けになったとか、力が湧いたという手応えがないと厳しい。こどもに意見を聴いたからには、納得がいくようなフィードバックをすることが大切だ」と述べた。

 加えて、「こどもたちが声をあげられる方法を広げていくためにも、教育現場と連携し、1人1台端末を活用していくべきではないか。こどもたちが大半を過ごしているのは学校だ」と話した。

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