寒さも和らぎ、草木が芽吹く弥生3月。学校文化の集大成といえる卒業の時期を迎え、子供たちは学校生活の関わりの中で受け継ぎ創造してきた花を大きく咲かせていく。
2020年からのウイズ&ポストコロナの激動の5年間。20年2月27日の学校臨時休校要請受入れにより、準備無く卒業式を実施し、多くの制約の中での卒業式が2年続いた。時代の変化の中で、23年から導入のラーケーションの日、公立高校入学選抜の改革を推し進めながら、各学校は一人一人の子供たちを育て上げていく学校づくりを行い、創造的に卒業式を実施した。各市町村教委をはじめ関係者の多大なるご尽力に感謝とともに敬意を表する。
コロナ禍での卒業式では、3密回避のため、保護者の会場入場を最優先に、在校生は各教室で配信される映像中継を観る学校もあった。厳選した歌と言葉に、これまで以上に意味や思いを強く込めて式を盛り上げ、在校生もその姿をしっかり目に焼き付けた。工夫や努力で創り上げた卒業式は、いつまでも子供たちの心の糧として残ることだろう。
最後の学級担任のときに出会った中学3年生のMくん。学校に来られなかったが、仲間との関係から抜け出せずにいることがわかり、毎日の家庭訪問でこれからの生活を少しずつ一緒に考えることにした。「修学旅行に行こう」当日Mくんは、学級が迎えてくれる中で、私と手を握ってバスに照れくさそうに乗った。3学期には、大好きな屋根屋に就職が決まり、学級のみんなも喜んでくれた。卒業にあたって自分の言葉でお礼を述べたとき、担任として学級のみんなとの関わりのお陰で、穏やかな心持ちと旅立っていこうとする前向きな成長を強く感じた。
卒業時には、親も先生方も関わった子供の成長とこれからに大きな喜びを感じる。卒業していく子供たちが感謝の思いを形に表し、自分の目指す目標や夢の実現に向けての大きな節目にすることを期待する。