(読者の窓)主体的な学び

(読者の窓)主体的な学び
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 「主体的に学ぶ態度とは」「自己調整力とは…」。

 そういったことを日々考えると、いつも頭によぎるのが、ドイツの高校生にインタビューした時の一言です。

 2002年度、現職教員の修士課程で大学院に通っていた時、幸運にも、大学の先生から、ドイツの小学校から大学までのさまざまな学校を訪問し、ドイツの教育の現状を視察するお誘いをいただきました。そして、現場の先生方や学生と交流する機会を得ました。

 その中で、ベルリンのある総合制学校の女子学生(日本で言えば高校2年生)にインタビューした際、高校2年生課程の留年を自己選択したとの話を聞きました。私は、「年下の人たちと同じクラスで学ぶことに抵抗はないですか」と聞くと、逆に不思議そうな顔をして、「高校2年生の学習をきちんと理解しないと、進級してもきっと自分はついていけない。それならば、留年してでも2年生の課程をきちんと理解したい」と言ったのです。

 ドイツと日本では、教育制度やキャリアに関する考え方に違いがあるといえばそれまでですが、自分の学力を客観視し、自己調整をしながら主体的に学びに向かう姿に、当時の私は衝撃を受けました。

 高校生と義務教育年齢の児童・生徒の違いはありますが、どのようにしたらドイツの学生のように自らの学びを調整しながら主体的に学びに向かう態度を育てていけるのか。

 この原稿を書きながら改めて考える毎日です。

 (内藤伸一朗・稲沢市立稲沢北小学校長)

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