高校無償化を巡る自民党、公明党、日本維新の会の3党合意を受けて、自民党文科部会と教育・人材力強化調査会の合同会議が3月7日、党本部で開かれ、3党の合意内容や今後の論点を巡って意見が交わされた。この中で、2026年度から私立高校への支援金を大幅に拡充する内容を巡って、「私学への大幅な支援で公立高校はもつのか」「大阪など先行地で生じている問題をきちんと検証すべきだ」などと懸念や問題点を指摘する声が相次いだ。会議後、柴山昌彦元文科相は、今後、党内に新たな会議体を設置して議論を進め、懸念の払拭に取り組む考えを示した。
高校の就学支援金は現在、年収910万円未満の世帯に年間11万8800円の基準額が支給されているが、3党合意の結果、今年4月から所得制限をなくして国公私立を問わず基準額を支給し、26年度からは私立高校への支援金も所得制限をなくし、上限を現在の年間39万6000円から45万7000円に引き上げることが決まった。これを受けて政府が毎年6月ごろに決める「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)までに、制度の大枠づくりが進められることになっている。
合同会議は約1時間にわたり、終了後にブリーフィングをした柴山元文科相と今枝宗一郎党文科部会長によると、各委員から3党合意の内容に対する懸念や問題点を指摘する声が相次いだという。具体的には、「公立高校で定員割れが相次ぐ中、私立高校に多額の支援をして公立がもつのか。むしろ公教育をしっかり応援すべきではないか」や、「無償化を先行している大阪や東京で起きている課題をしっかり検証すべきだ」といった声が上がったという。
また、約4000億円に上るとされる私学への支援拡充に伴う財源の確保や他の文部科学省事業への影響に加え、外国人学校や通信制高校にどう対応するかといった論点の指摘など多様な声が寄せられたという。
こうした意見を踏まえ、柴山元文科相は「現場のヒアリングや指摘された懸念を乗り越えるために、党内に新たな会議体を設け、3党の実務者協議とともにしっかり進めていくと説明した。どのような会議体にするか政調会長と相談し、近々キックオフをしたい」と述べ、26年度の予算編成もにらんで制度設計などを急ぐ考えを示した。