スポーツ庁は3月12日、2026年度以降の部活動の地域移行に向けた取り組みを検討する「地域スポーツクラブ活動ワーキンググループ(WG)」(主査:友添秀則環太平洋大学教授)の、6回目会合を開催した。WGでは「最終とりまとめ」の素案を公表、出席した16人の委員が意見を交わした。最終とりまとめ案では、文化芸術活動を含めた各WGでの議論を踏まえ、新たに「学習指導要領の次期改訂では地域展開を前提とした記載にする」「教員の兼職兼業は強制とならないよう配慮する」などの要素が加わった。これを受けスポーツ庁の室伏広治長官は「部活動改革は社会改革でもあるのではないかと思う」として、「スポーツ界も、行政や自治体も一緒になって、現代に合ういちばんいい形で子どもたちに応えていけるよう取り組んでいく」と述べた。
部活動改革を巡って文部科学省は23~25年度までの3年間を「改革推進期間」に位置付け、公立中学校の休日の部活動について地域移行を進めてきた。部活動改革に関する実行会議では昨年8月から各WGを開き、26年度から6年間の「改革実行期間」の方針や取り組みに関し、有識者による議論を重ねてきた。
最終とりまとめ案では、昨年12月の中間とりまとめからの修正・変更点として「受益者負担の水準について国が目安の金額を示すことを検討する必要がある」ことを追記。これに対し、教育委員会をはじめ自治体に所属する委員を中心に「地域移行を進めやすくなる」「どの自治体も心待ちにしていた」などと賛同の声が多数上がった。また、移行後の受け皿となる地域クラブ活動の実施主体を定義し、果たすべき役割と機能を明確化する方針も示した。
学習指導要領での部活動の取り扱いに関しては、次期改訂に合わせ「地域クラブ活動の普及・定着を前提とした記載」にするとし、地域移行が困難な学校についても「教職員等の負担軽減の視点から一定の記載を行うことが考えられる」とした。次期学習指導要領での記載については「スポーツ庁および文化庁でさらなる検討・具体化を進めた上で、中央教育審議会に報告されることが期待される」としている。また、指導者の質の保障・量の確保を巡っては「教職員の兼職兼業が事実上の強制とならないような配慮」の記載が新たに加わった。
昨年8月から6回にわたった地域スポーツクラブ活動WGでの議論を受け、同庁の室伏長官は「少子化が進む中、学校だけで部活動を支えることは限界」としながらも、地域移行後の学校の役割について「情報提供の場として学校は重要。移行後も学校は地域の一部として関わることになる。学校施設の活用や教員の兼職兼業で、大いにご協力いただきたい」と強調した。
同庁と文化庁は3月18日の地域文化芸術活動WGでの議論を経た後、4月から5月にかけて部活動改革に関する実行会議を開催。春ごろをめどに最終提言をまとめる見込みだ。