教員の業務量管理「教委と人事委の連携」期待 参院文科委で文科相

教員の業務量管理「教委と人事委の連携」期待 参院文科委で文科相
教員の労働環境改善に向けた取り組みについて答弁する阿部文科相=参院インターネット中継より
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 参院文教科学委員会が3月24日開かれ、来年度予算などを巡り質疑が交わされた。この中で、教員の長時間勤務是正などに向けて教育委員会と学校現場の労働基準監督を担う人事委員会との連携が進んでいないと議員から指摘されたのに対し、阿部俊子文科相は、今国会に提出した給特法改正案に、教員の業務量を適切に管理する計画の策定や取り組み状況の公表が盛り込まれていることに触れて、「こうした取り組みを通じて教育委員会と人事委員会の連携の促進も期待されるところであり、教師を取り巻く環境整備に全力で取り組みたい」と述べた。

 水岡俊一議員(立憲)の質問に答えた。はじめに水岡議員が2019年に働き方改革関連法が施行されて以降も学校現場で改善が進んでいないのではないかと質問したのに対し、厚労省担当者が24年の労働力調査を基に、学校現場の週労働60時間以上の雇用者の割合が14.2%と全業種平均の8.0%より高いとして、「学校現場でも長時間労働の削減に向けた取り組みが重要と考えている」と答えた。

 これを受けて水岡議員は、奈良市の私立学校で残業代の不払いがあったことに対して労基署が今月、校長らを労働基準法違反の疑いで書類送検した事例を挙げて、「労基法が適用される私立学校で労基署が監督機能を果たしているが、公立学校で監督機能を果たす人事委員会は機能を果たしていないのではないか。各教委と人事委員会の連携についての調査では、『連携を図っている』との答えが7.5%しかなく、文科省から教委に指導してはどうか」と迫った。

 阿部文科相はこれに対し、「指摘をしっかり受け止めたい」と答えたうえで、給特法改正案では教育委員会が教員の業務量を管理する計画を策定し、取り組み状況を公表することが盛り込まれていることに触れて、「取り組みを通じて教育委員会と人事委員会の連携の促進も期待されるところであり、教師を取り巻く環境整備の推進に全力で取り組みたい」と述べた。

 また、下野六太議員(公明)も給特法改正案を巡り、「教員不足が深刻で休みにくい学校現場の環境を何とかしないといけない。働き方改革を進めるために計画策定や公表を義務付けるというが、教員の健康確保をはかる具体的な手だてを聞きたい」と質問した。

 これに対し阿部文科相は、「教員の健康と福祉の確保は大変重要であり、休暇取得の促進を含めて留意条項を具体的に示すことにしている。こうした仕組みを通して教員の健康と福祉を確保する取り組みを一層推進するとともに、教職員定数の改善と支援スタッフの充実、働き方改革などさまざまな施策を総動員して環境整備をしっかり進めたい」と述べた。

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