高校の教科書検定結果公表 平均ページ数は旧課程改訂時の1割増

高校の教科書検定結果公表 平均ページ数は旧課程改訂時の1割増
検定合格した地歴公民の教科書
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 文部科学省は3月25日、2024年度に行われた高校低学年向けを中心とした教科書の検定結果を公表した。現行学習指導要領では2巡目となる検定で、合格した教科書は26年度から使用が開始される。前々回の教科書検定と比べると、教科書の平均ページ数は1割増加した。同日に開かれた教科用図書検定調査審議会の総会では、25年度の教科書検定から申請された教科書のデジタルデータを提出するなどの教科用図書検定規則実施細則の改正についても了承された。

 今回の検定では、主に高校の低学年向け教科書253点と中学校の技術・家庭科技術分野の教科書1点が申請された。高校は253点全てが合格した。一方で昨年の教科書検定でも不合格となり、再申請した中学校の技術・家庭科技術分野の教科書は、誤りや不正確な記述、誤解する恐れのある表現、理解し難い表現などの欠陥箇所が基準を超えたことから不合格となった。

高校の各学科に共通する教科・科目で申請された教科書の一覧・検定結果
高校の各学科に共通する教科・科目で申請された教科書の一覧・検定結果

 高校の各学科に共通する教科・科目で申請された教科書計236点をA5版に換算した場合の平均ページ数は321ページだった。平均ページ数の増減を比較すると、現行学習指導要領の1巡目の検定となった前回(20年度)より102.9%増。1つ前の学習指導要領の下で2巡目の検定となった前々回(15年度)と比べると110.2%増えていた。

 今回の検定に関係した資料は、東京都江東区にある教科書研究センターをはじめ、全国7カ所で順次公開される。

 会場と日時は▽教科書研究センター 5月19~30日▽岩手県立図書館 6月10~16日▽埼玉教育会館 6月18~22日▽新潟市立中央図書館 6月6~10日▽和歌山県立図書館 6月13~18日▽香川県教育センター 7月8~15日▽長崎県庁 6月12~16日。開場時間帯や休館日は会場によって異なる。

 公開に合わせて検定意見書などは一部を除き文科省ホームページにも26年1月末まで掲載される。

 3月25日に開かれた教科用図書検定調査審議会の総会で、各教科・科目の検定状況や審議結果が報告されたほか、教科用図書検定規則実施細則の改正案も諮られ、了承された。

教科用図書検定調査審議会の総会=撮影:藤井孝良
教科用図書検定調査審議会の総会=撮影:藤井孝良

 実施細則の改正により、申請された教科書のデジタルデータも合わせて提出することになる。さらに、検定意見に対応した修正で、検定意見で指摘された箇所を含む記載をウェブサイト上に移し、二次元コード(QRコード)などを介して参照するような変更を行った場合、その修正後のウェブサイトの画面を修正表に示すことなどを定めた。

 実施細則は24年度中に改正され、4月1日以降に申請を受け付ける教科書検定から適用される。

 文科省では24年度補正予算で、教科書検定業務をデジタル化するシステムの構築に約2億円を確保しており、今後、検定に関する事務作業の効率化を進める方針。

 

【キーワード】

教科書検定制度 小学校、中学校、高校の教科書は、民間の教科書発行者が著作・編集し、文部科学省で学習指導要領に沿った内容であるかなどを審査し、合格したものが、教科書として使用を認められている。著作・編集を民間が行うことで創意工夫を促しつつ、教科書の質を担保する狙いがある。

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