大規模災害が発生した際の学校の早期再開に向けて、国立教育政策研究所は3月26日、能登半島地震で被災した学校などの学校再開の事例を基に、ノウハウや課題をまとめた報告書を同研究所のホームページで公表した。被災地などで発生したさまざまな課題と、それを乗り越えた現場の工夫を36個抽出し、災害時の学校再開に向けて必要な対策をタイムラインで整理している。
大規模災害で被災した場合であってもできるだけ早期に学校を再開することが求められていることから、同研究所文教施設研究センターは昨年10月に、建築分野の専門家や自治体・学校現場の有識者で構成する調査研究会を設置。2024年1月に発生した能登半島地震で被災した石川県能登地方の公立学校へのアンケートや訪問調査、16年に起きた熊本地震の被災自治体や先進的な取り組みを行っている自治体へのヒアリングなどを行い、学校再開に関する事例を収集した。
事例を分析し、被災地での学校再開に向けた施設面での工夫を▽安全点検および安全区域と立ち入り禁止区域の区分け▽避難所に開放するエリアの設定▽教育活動エリアの確保▽教育活動エリアの拡充および本格的な復旧――の観点で課題を整理し、どのような工夫が行われたのかを抽出した。
例えば、学校再開にあたって避難所機能を縮小し、教育活動エリアを確保する課題で、避難所運営の関係者がコンセンサスを得るための打ち合わせや、必要な教室を確保するために使用頻度の低い特別教室を普通教室に転用した対応策などを紹介している。
また、調査で得られた知見やノウハウを踏まえ、災害が発生してから学校再開に向けて、学校施設に関して想定される課題や必要な対策をタイムラインで示した。
その上で報告書では、平時から実施すべき取り組みとして、地域の実情に応じて、災害発生後に速やかに学校施設の安全点検を行えるように協力体制を構築しておくことや、学校の中で避難所として開放するエリアをあらかじめ設定しておく必要性などを提言している。同報告書はこちら。