いじめ対策「子供版」作成 東京都教委が児童生徒に配布へ

いじめ対策「子供版」作成 東京都教委が児童生徒に配布へ
いじめ防止に向けた総合対策案などが示された東京都教育委員会定例会=撮影:山田博史
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 東京都教育委員会は3月27日、第5回定例会を開き、いじめ防止対策の推進に向けて今年7月から始まる第3次「いじめ総合対策案」が示された。この中で、教員向けに加えて、新たに小中高生向けに「いじめ総合対策【子供版】」を策定し、パブリックコメントを経て、今夏に公立学校の児童生徒に1人1台端末を通して配布する方針が説明された。同教委は「各学校で特別活動や道徳の授業などに積極的に活用してほしい」と話している。

 東京都教委の第3次「いじめ総合対策」は、今年7月から2029年3月までのいじめ防止に向けた取り組みなどをまとめるもので、この中で小中高生がいじめについて学べる「子供版」が策定されることになり、定例会で原案が示された。

 「子供版」は、「初級編」(小学1~3年)、「中級編」(小学4~6年)、「上級編」(中高生)の3種類作成され、児童生徒の発達の段階に応じて活用できる。例えば初級編では、小学校低学年の児童が「いじめ」について正しく理解できるように、「鬼ごっこでいつも同じ子を鬼にする」「勝手に友達の鉛筆や消しゴムを使うこと」などもいじめになることや、「謝った」「今は何もしていない」だけではいじめが解消されたことにならないなど、具体例を示しながら説明するとともに、いじめに関して自分や友達が悩むことがあれば学校や学校外で相談できることなどが記載されている。

 中高生向けの「上級編」では、いじめ防止対策推進法で示されているいじめの定義をはじめ、いじめに関連する暴行や恐喝など犯罪行為に当たる事例、最近増えているインターネット通じて行われるいじめへの対応方法などが盛り込まれている。

 同教委では、昨年7月に「いじめ問題対策委員会」がまとめた答申で、子ども自身にいじめ問題を考えさせるものを具現化することが示されたのを受けて、子供版の作成を進めてきた。原案について3月27日から4月下旬までパブリックコメントを募集するとともに、来月上旬には都内の公立学校の小中高生から意見を聴取し、6月下旬に最終版を教育委員会に報告する予定。

 「子供版」は完成後、都内の公立学校の児童生徒に1人1台端末を通じて配布され、都教委のホームページにも掲載する。同教委は「子どもたちに配りっぱなしではなく、特別活動や道徳の授業などで活用してもらえるよう、データとして配布する段階では活用方法も記したチラシなども作っていきたい」と話している。

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